ただいま大須商店街

  • 番組名:ただいま大須商店街
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:1月2日13時

名古屋の大須商店街の老舗の和菓子屋の娘久美子(松下由樹)が27年ぶりに一人息子と出戻ってくる。家を飛び出す原因でもあった家庭を顧みず仕事一途な父親(平泉成)との確執は根強くあるものの、次第にふるさと大須の良さを実感するようになる。そこに大きく持ち上がった大須をニュヨークみたいな街にしようという再開発の動き。久美子と幼馴染(西村和彦)たちは、その動きに反発し、外国人のガイドをしながら大須の良さをアピールするが、時代の趨勢に勝てそうにもない。ドラマの中に、万松寺、大須観音、古き映画館の街、スケートリンクなど実在の過去映像を適度に織り込みながら、大須の今昔を無理なく紹介していて、楽しめる作りにもなっている。今や国際的なグルメの立ち食い文化の発信地としてトルコのケバブや、父の守ってきた和菓子も「忍者まんじゅう」として国際色豊かな大須の文化の象徴として描かれている。さてドラマは、再開発派の重鎮外国人デザイナーを巧みに攻略し大須の良さをアピールすることに成功した久美子たちが大逆転で勝利することになる。
大須は各店や住む人々が「花のように競い合い色とりどりに咲き続ける街」「多様性を進化させ続けるダイバーシティー」一件落着するのは、そんなところである。人情ドラマなのでややとってつけた感じがしてしまう。日本の商店街のなかでも最も活気のある町大須を地域の宝としてドラマを作ろうと東海テレビが総力を挙げて取り組んだのは、60周年開局記念として意義のあることだと思う。ローカルドラマを作る機運が衰退している東海地区のテレビ局の中でも、エリア№1を標ぼうする局としての矜持なのかもしれない。
ドラマの筋たてに使われる「国際色」「ごった煮」の街大須というテーマが、現実に大きく繁盛させているエネルギーに比して「古き良き街大須」に安住しすぎて、迫力を感じさせないのは何故なのだろうか?対になるドキュメント版「大須商店街」を、あるいはもっとリアルで過激な大須のテーマで続編ドラマを作って欲しいと感じた。