東海テレビ60周年記念番組「HOME」~闇サイト殺人事件・娘の贈りもの~

  • 番組名:ドキュメンタリードラマ「HOME」~闇サイト殺⼈事件・娘の贈りもの~
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2018年12月25日 19時~

11年前にあった卑劣な殺⼈事件をドラマ仕⽴てにして裁判が終わった今、⼩さな幸せを築いていた被害者家族を中⼼に描くもの。そして、加害者部分は実写で追う。
あまりに突然降りかかった娘の酷い死に加害者を極刑にと訴える磯⾕富美⼦さんはニュースでよく⾒せていただいたが、娘利恵さん、婚約者たちが
実名でドラマに登場、この事件を⾵化させないという気迫を感じる。

スケ番刑事を思わせるサワリもあり、⻫藤由貴や存在感のある⼤空真⼸、佐渡川愛未、須賀健太、浅⽥美代⼦がしっかり演技。ただ、磯⾕親⼦のパートがかなり⻑く家族環境はよく理解したが、ドラマ性が⾼い訳でもないのでこのドラマの本質は何なんだろうといささか尺⻑の⼼配をした。そして、加害者の⼦供の頃の環境も少し描かれついに犯⾏にたどり着く。
インターネットがつなぐ闇の職業紹介で加害者がいとも簡単に犯⾏計画を語り、即座に実施。将来ある⼥性が殺される。棺が⾃宅に運びこまれるその辺りから実写になっていく。

犯⼈グループの⼀⼈が⾃⾸して犯⼈は逮捕、裁判が始まる。
殺害した⼈数によって死刑か無期懲役か決まってくるという司法のあり⽅、このやるせない⽭盾を磯⾕さんは街頭で強く訴える。⼀審は⼆⼈が死刑で ⾃⾸した⼀⼈の犯⼈は無期懲役。その後も続くのだが、この事件の本質は司法の裁き⽅に被害者⽬線が薄いということと闇サイトというインターネットが⽣み出した簡単な悪事のサイト、そして簡単に⼈が集まる事だと思う。

ただ、この番組はあまりその点に切り込んでいくのではなく、加害者の家庭環境に背景があるような作り。⼩さな男の⼦をお⺟さんが家に帰ろうとてをつなぐ、思わせぶりなタイトルであるHOMEへの誘導か︖家庭環境が恵まれなくても頑張っている⼈は⼭ほどいる。その⽅々に失礼な気がする。
闇サイト製作者は強く懲罰を受けるべきだし再発しない監視体制を整えるべきだ。

また、被害者⽬線にも考慮するよう裁判員制度も始まっている。そういった問題点を改善していく状況を⾒ていく⽅が、極めて情緒的な家庭環境の⼤切さを訴えるより⼤事な事だったのではと思う。

しかし、ドキュメンタリーを材にしてドラマを作ることは迫⼒がある。
磯⾕さんの今後の⼈⽣が静かに穏やかであることを祈る︕

柴垣邦夫