東海テレビ 壮だったのか たけい壮ゴールデン

東海テレビ60周年記念 2019/1/11㈮ 1900~

アスリートが集まる「たけい荘」。寮長の武井壮とアスリートたちのスポーツ談義。
体育系バラエティトークショーとして、シリーズ6回目となる。
今回は平成最強の2遊間コンビ、中日ドラゴンズの荒木と井端の「アライバ」と昨年の名古屋場所で初優勝した「御嶽海」の極意に迫ります、という企画。
山本昌と山崎武司のドラゴンズOB二人がレギュラー的な存在でスタジオの脇を固める。
毎回いろんなアスリートが登場しているが、この番組の素晴らしい所は武井壮の名前にかけた「そうだったのか」というタイトルに企画意図が打ち出されていて、なおかつそれが番組内容にきちんと反映されているところ。

今回はVTR出演での井端選手の捕球の話に「そうだったのか」と特に感銘した。私のように小学生時代しか野球に触れていない者でも捕球の基礎は体の正面でやるべしと教わったものだ。つまり、ボールの飛んでくる正面に早く回り込むことが第一だ。しかし、現実は簡単ではなく、体が追い付かず、腕だけを伸ばして捕球せざるを得ないこともある。ボールは一旦グラブに収まったかに見えても、飛び跳ねてゆく。これが凡人のプレイ。
井端選手は体の正面とは自分のへその正面だという。へその前に腕があれば良い、というのだ。
井端選手のプレイは体の横で捕球したように見えてもへそが横を向き、そのへその正面に腕がある。つまり、腕だけでなく、腰や股関節を使って、へそがボールの方を向いている。
これはもちろん強靭な下半身、体幹があってこその態勢だと思うのだが、この技術そのものが極意なのだが、更に「へそが私の体の正面」と表現できるところが達人ならではの極意だと思った。この部分はスタジオで見ていた荒木選手ですら驚いていた。野球小僧ならずともスポーツに関わる人はある種の刺激を受けたに違いない。グラブの話も初めて聞く話が多かったが、極め付きはこの捕球の極意だったと思う。
前に放送されたシリーズでは横綱白鵬が四つに組んだ時のかいなの使い方が驚きの業であった。
これも取材VTRだったが、やはり取材現場でなければ引き出せないものだろうか。

武井壮というバラエティタレントでありながら、アスリートとしての能力を持つ彼の良さを発揮して、他では聞けない「そうだったのか」を引き出してくれる。タイトルと内容が違ったり、何を意図しているか分からない番組が多い中、このシリーズは毎回それを見せてくれるので楽しみにしている。武井壮がこの極意を引き出すためにスタッフがどんなリサーチや準備をしているのか分からないが、タイトルに恥じない結果を出しているのは立派だと思う。

澤田健邦