ここで、笑う 2019年1月5日 中京テレビ

  • 番組名:土バラ ここで、笑う
  • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:2019年1月5日 24時55分~

ホームページを見ても簡単な解説が淡々とあるだけで宣伝にまで力が回らなかった様子、番組作りにギリギリまで必死だったんだろう。実験的な枠である土バラで飛び抜けた実験的な番組。
人はどんな時に笑うか、どこで笑うか、どんな事で笑うかを探る文化人類学的な番組。その為にフィリピンのハッピーランドという貧しい人の集まる街に行く。その様子をケンドーコバヤシが取材ディレクターとVTRを見てコメントをつける。
野犬が家の中にいて笑う、家の近くで警官の制服発砲事件があったと言う話で笑う、歯がないから食べにくいと恥ずかしがって笑うなどなど。
どうして笑うと聞かれた街の人が答える言葉は感動的で哲学的。貧しくとも恵まれていなくとも生きていく人の逞しさは素晴らしい!こうした事をテレビの前で座って見ていていいのかしらと思ってしまうほどの現場取材の迫力。それをケンドーコバヤシが取材ディレクターの解説を受けながら自身の言葉で素直な感想を述べた。正直さがとても良い。
そして、もう一つの取材地モンゴルの牧草地。ゲルで生活する放牧民家族に密着、羊のくるぶしの骨で遊ぶ親子や夫婦に笑いが溢れる。ゲルにはソーラーパネルがありテレビや携帯電話が活躍、知ってる人は知ってるだろうけど現実のモンゴル遊牧民の実態に驚いた!
この番組は優れた「笑いの文化人類学」だし、現地の今を伝えるドキュメンタリーだと思う。よくこういう取材をしたなぁと感心する。フィリピンのハッピーランドはイチゲンではなかなかこんな取材できないのではと思うほど突っ込んでいる。あんなに狭いところで寝ている20人以上の家族を撮らせてもらうのは取材ディレクターの人柄だ。ひょうひょうときわどい場面を撮影するだけで才能なのでは?
ぜひ再放送してもっと見てもらう機会をつくって欲しいと編成に対して思うほどの力作でした。
一点考えた方がいいところはオープニング。「西東さん」の映像を見る人の後ろ姿から始まるがもう少しアイデアがないのかなぁ?本編がこれだけ強烈なのにあまりに惹きがない!でも「土バラ」枠では出色の出来でした。

柴垣邦夫