「濱田岳アマゾン体感 暴れ怪魚と猛牛大移動」

  • 番組名:「濱田岳アマゾン体感 暴れ怪魚と猛牛大移動」
  • 放送局:CBCテレビ(全国ネット)
  • 放送日時:2019年1月26日(土)14時~15時24分

KINGさんが書かれている通り、この手の世界をめぐる紀行ドキュメンタリー風エンタテイメントは特番という形で数多くあり、僕も制作にはかなり関わった経験がある。取り上げる場所と旅人のキャスティングが相当大切で、その点濱田岳さんをブッキングできていることは大変ポイントが高い。彼の人柄の良さを感じさせるやり取り、はにかみながらもなんか親しみのある自然で実直なコミュニケーションは随所で心地よさを盛り上げている。キャスティングはうらやましいほどの二重丸、となると次は取材場所。アマゾンはずいぶん取材地として取り上げてきた場所、そして興味度は高い。ただ、今回はアマゾンのどの点にフォーカスしたかが少し弱いと感じた。もちろん映像はとても雄大で、抜けた青空、アマゾンらしい自然、珍しい動物や魚、いろいろ素晴らしい映像はたくさんあった。

冒頭「ざんねんな生き物図鑑」でカピパラやナマケモノの面白ネタを紹介し、世界に900万種いる動物の半分がいるブラジルの熱帯雨林というフリで紹介されていくアマゾン、一方ホームページを見ると番組コンセプトは「俳優濱田岳が南米ブラジルで同世代のお父さんの生活を体験、都会から離れた大自然の中で生きる理由を探る。」とあった。濱田岳はあまりプライベートは出していないと思うがお父さんなのだろう。でも番組の中でもお父さんの色は出していないので同世代のお父さんという立ち位置は番組見ていても感じなかった。そして現地のお父さんたちは大自然で生き抜く知恵は語っていたと思うが大自然で生きる理由を真剣に語っていたとは感じない、むしろ当たり前のことで語る必要もないのだろう。そこらの企画書上のコンセプトと実際に取材してみて出てきた状況はいつも違うことが多いのだが、その修正がうまくできていないように感じる。少なくとも広報的には変えていかなくてはいけない。その点では牛の暴走もを番宣で煽りとしてかなり使っていたけど、これも映像があまりなく拍子抜け。もちろん突発的に起こったことで撮れなくても仕方ない部分はもちろんあるが。ただ、煽りに使うのならもう少し迫力のある画がないと残念です。イッテQがすごいのは突発的な迫力映像がおさえてあったり、なくてもナレーションのトーンやテロップ、スローモーションなどいろいろ駆使して現場感を感じさせてしまうことです。これが演出だと強く思うところ、これが今回は弱かったようです。この番組の場合そちらに行かなくてもよかったのかとも思います。牛の大移動は、濱田が馬の乗りこなしていることも含めてすごい出来事。ベテランカウボーイが牛をもう一度集めなおし行進を再開する技術はスゴ技でしょう。そして、大自然で生きる知恵や楽しさや、厳しさを語っていけばいいのかなと思ったりします。かなりやり尽くしているので番組作りは苦労が多いと思うけど、本質を丁寧に取材していくしかないのかと思いました。

でも、こうした番組を年一回きちんと放送していくことは有意義で、制作者にとっては夢のある番組だと思います。少しでもテレビ局や関連会社の人が関わっていけるといいですね。来年もよい番組作ってください、期待しています。

柴垣邦夫