地球は広し、冒険は楽し。CBCテレビ「濱田岳アマゾン体感」

  • 番組名:濱田岳アマゾン体感 暴れ怪魚と猛牛大移動
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2019年1月26日14時〜

ジャングルを流れる川でピラニアを釣る。カウボーイになって牛の群れを追う。少年の頃、誰しも一度は思い描いた夢を少年のような俳優、濱田岳が実現するというこの企画。番組冒頭で挿入される大自然の俯瞰映像は印象的であり、わくわくさせられた。

さて、実際にそこで暮らす人々の様子は、どんなものだろう?とんでもなく過酷かな?不安を和らげるのは、やはり信仰心なのかな?などと知識不足の私は、勝手な想像をふくらませていたが、さにあらず。カタラォンという町では、アマゾン川に浮かぶ家々に案外文化的な趣もあり、住人増加による水の汚れさえ心配されている。

こうした場所では、真摯なリポートが望ましいので、概して濱田の落ち着きある言動には好感が持てた。細かな発見に対しても住人に充分敬意を払いながら向き合っていたようだ。しかし、場面によってはもう少し感情の起伏が現れても良かったような…。たとえばジャガーとの遭遇では、実際は画面の表情以上に怖かったのではないかと思う。あとで本音告白をさせるシーンを設けたのなら意外と面白い表情が引き出せたかもしれない。

濱田の馬術を活かした牛追い体験のシーンは、スケール感に溢れていた。牛の暴走というハプニングを好材料にして、番組の見せ場もしっかり演出できていた。記憶に残るシーンだ。

それにしても野生と共に生きる現地の人々は、我々から見ればとても快適とは言い難い日常をなぜ続けられるのだろう?「選択肢が少ない」とナレーションは表現したが、できれば、その少ない選択肢のことにも触れてほしかった。生き方選びというのは、万国共通のテーマなのだから。

ともあれ、限られた時間内での予定映像の確保、ハプニングへの即応、さじ加減が難しいリポーターへの指示など、海外ロケには付き物のスリルをたっぷり味わったスタッフの皆さん、本当にお疲れ様でした。心より敬意を表します。ぜひうまい酒を飲んで下さい!

                             中島精隆