「ハンボーブラザーズ~猫の手も借りたい繁忙現場でお手伝い~」(テレビ愛知:バラエティ・情報)

  • 番組名:「ハンボーブラザーズ~猫の手も借りたい繁忙現場でお手伝い~」
  • 放送局:テレビ愛知
  • 放送日時:2019年2月16日(土曜)午後6時59分~午後8時54分

この日のテレビ愛知はローカル制作番組にチカラが入っていた。この番組の直前が、前に感想を書いた「よゐこ濱口の30分特番」で、この番組からCMを挟まず、ぶっつなぎ編成で本作を放送。トータルで2時間30分の長尺枠しかもG帯にかかる週末の特番ということで、その意気込みは伝わってきた。

さて、本作。よゐこ濱口が愛知県であったのに対し、三重県と岐阜県をロケした情報バラエティだ。取材先から「忙しいから手伝いに来てくれ」という手紙を貰い、タレントがガチで手伝いに行くという設定。タレントが現場の手伝いをするという形を借りたローカルエリアの情報提供番組と理解した。2時間の前半はタレントの金子貴俊と敦士が、元日の伊勢神宮おかげ横丁にある伊勢うどん店へ。一年で一番忙しいという日に30時間を超え一万杯のうどんの配膳を手伝う。次の日はこれまた一年で一番忙しいという鳥羽市のカキ食べ放題の店へ。開店前、海に出かけてカキを引き上げるところから、それを店に運び客入れの準備、そして応対、撤収までを手伝う。

後半は岐阜県。チャン・カワイとザブングル加藤の登場。2人はまず白川郷のランドマーク和田家のライトアップの準備を手伝う。また恵那市山岡町では名産寒天作りを極寒の中、手伝う。

この番組の見どころは、レギュラーの情報番組なら、客の立場で食レポなどして終わる所を、バックヤードに入ってその苦労を伝えているところだろう。本当に超多忙なところに入ったタレントを、現場の人は甘やかさず、ボヤボヤしていると叱られるところも真剣勝負が伝わってきて良かった。タレント側も現場のピリピリ感を感じて、必死にやっていたのが伝わってきた。今どきの言葉でいえば「ガチ」の仕事が見られたということ、そして東海エリアに暮らす私達としても、知ってはいるけどこんな苦労があったのか、とかこういう仕組みがあったのか、という新しい気付きを楽しめた。さらに季節が冬であったのも好ましかった。寒さが仕事の厳しさを加速させる役目を果たしていたから。実際、寒天作りで、あまりの冷たさにチャン・カワイの目には涙が浮かんでいた。自然を相手に「仕事をする」ということは厳しいものなのだ。この番組の四人のタレントは、チャラさがなく真剣でその行動から現場の人たちの素直なリアクションも引き出せていて好感が持てた。

逆にマイナスだった点は、そういう真面目なタレントの必死さはせっかく画から伝わってくるのに、「声」になって伝わらないこと。見ていれば分かるというのはハードなドキュメンタリーに任せて、こうしたG帯にかかるような特番なら、彼らにもう少し語らせたり、つぶやかせたりしたら良かったのにと感じた。まったく言ってないわけではないのだが、せっかく一所懸命働いているのだから、ちゃんとした感想を聞きたかった。テレビ愛知が事前にプレスに配った資料には、二人の感想が出ていて、これこそテレビで言えばよかったのに!と思ったのだった。

例えば

金子:いやー忙しかった!!(おかげ横丁・伊勢うどんの店)お客さん全然途切れないんだもん。

敦士:三十何時間、働きづめでね!
金子:どんだけ働くの!っていう!
敦士:みなさんの笑顔が救われる、忙しいからこそみられる笑顔っていうのがね。
金子:金子貴俊、芸能生活、一番ピンチで迎えた現場でしたから!!

敦士:ピンチだったねー!びっくりしたもんね、ウソでしょ?って!
金子:見てからのお楽しみ!
敦士:二日目行ったのは、カキ養殖、カキ小屋。
金子:もうトライアスロン状態。仕事の種類が豊富すぎて!もう息ぜいぜい、途中くらくら。。
敦士:お客さんの前に出る前に、こんなに作業があるのかって思ったもんね。
金子:次から次にどんどん新しい仕事が出てくるのよ。でも、一生懸命働いてる人がいて、そこにも笑顔があった。
敦士:そこに来ていただけるお客さんがいて、ぜんぶ救われたかんじがする。
金子:ぶっちゃけ、もしかして接客業が一番向いているかもしれない。って思ったくらい、新しい才能を見つけた気がする。(後略)

こうした声を番組の中で聞きたかったということだ。

この所、目先を変えたこの手の情報番組を見る機会が多い。みなあの手この手と情報のアウトプットの方法に知恵を巡らせている。各局切磋琢磨して、いいアイデアをぶつけ合えばいい。ただし、企画案まで東京のプロダクションに丸投げでは、ローカル局には形式的Pの名前以外に何も残らない。(KING)