「ボイメンと学んで”その時”に備える!」(CBCテレビ:報道)

  • 番組名:「ボイメンと学んでその時に備える イッポウSP防災列島2019」
  • 放送局: CBCテレビ
  • 放送日時:2019年3月6日 午後6時30分~午後7時55分

「CBCテレビは年に何回か、こうした防災特番を編成している。今回は間もなく東日本大震災から8年ということもあり、片や「南海トラフ大地震」の危険が叫ばれている昨今、レギュラーの「イッポウ」から続いてプライムタイムへ拡大した、表記の防災特番を組んだ。東日本大震災の風化が叫ばれる一方、このエリアでは「南海トラフ大地震」に対する緊張感が高まっていて、自然災害が異常に多かった印象がある「平成」という時代を締めくくる時期だけに、タイムリーな企画であった。ローカルの放送局が地道に災害に対する啓発を続けることは極めて需要な事である。

だが、せっかく作っても観てもらえないのでは何の役にも立たない。ということで当番組では地元で人気のアイドル、ボイメンを起用した。SKEやボイメンらを起用することを発想するのは難しいことではないが、今回この番組の感想を書く気になった最大の理由は、ボイメンのチャラいコスチュームに反した彼らの真面目な取り組みと的を得た感想があったからだ。現地でのキメ感想やスタジオコメントには演出サイドの台本があったり手が加えられていたのかも知れないが、ロケでの彼らのコメントは正直なものだったに違いない。そして彼らは教育が良いのだろう敬語の使い方を初め、礼儀正しいのが好感が持てたし番組の質に貢献していたと感じた。

HPの番組の狙いにもある通り、この時間帯は家族揃って、みんなで話し合いながら観てもらうため、分かりやすい作りを旨とし、ボイメンの5人の面々が、日本各地から防災に関するロケを担当した。栃木県防災館で強風や大雨、中央大学では津波体験、横浜では防災グッズや対応機器が並ぶ「震災対策技術展」での防災グッズの紹介、名古屋では楽しく保存食や防災グッズを準備する「プレッパー」と呼ばれる奥様の元へ。豊橋市の海岸エリアに伝わる石碑や、古文書を見せてもらい、過去の人の知恵を学んだり、東日本大震災の被災地、陸前高田を訪ね名古屋市から応援に入っている職員に復興の現状を案内してもらったりした。ドキュメンタリーのように人物の深層に迫ったり、シリアスな部分を深掘りし課題を掘り起こし、提言や気付きいに繋げるような作り方ではない、カタログ的なものであったが、この時間のボイメンを使っての狙いはそこにはないわけなので(と思った)これらはこれで良いと感じた。

先にも書いたように、ボイメンのメンバーらがロケ先で語るコメントは、彼らなりの自然な疑問や驚嘆であり、それらが的を得ていて感心してしまった。また加藤由香アナによる、北海道奥尻島の現状を伝える興味深いロケもあり、全体にバラエティに富み、個人的にも25年持つ缶詰とか、空気から水を作る装置とか、奥尻島の人口減や離島留学など興味深いものもあった。そしてコーナーとコーナーの間には、おなじみの名大福和先生の、分かりやすく、教訓的なまとめをする部分が設けられ、それぞれのコーナーから私たちが学びとれることとして纏め「啓発」の役割を担わせていた。

19時台といえば各局有力なバラエティが並び、ニュースはNHKが強い。そうした枠で、自局なりに出来ることをして(たとえ多くなくても)地元の視聴者に対し啓発していく作業は、息長く続けてもらいたいし、それがローカル局の責務だと思う。また特番だけでなく、レギュラーのニュース番組の中でも1分でもいいから、必ず来ると言われる「南海トラフ大地震」に備えるコーナーがあるといいのではないか。名古屋の各局が(ラジオも巻き込んで)全部それに取り組めば、啓発の影響力は大きい。(KING)