東海テレビ 東海のイイとこみんな教えて!ロンブー淳のスマホ旅

東海テレビ 2019/3/8(金)1900~1952

ロンドンブーツ 田村淳がスマホ片手に町に住む住人の情報だけを手掛かりに面白げな何かを訪ねて歩く。何年前かは忘れたが、このシリーズがスタートしてから何度か、ラテ欄で気が付いた範囲ではかなりの頻度で視聴しているつもりだ。
SNSで様々な仕掛けを企む淳ならではの企画。爆笑とはいいにくいが、成り行き任せの旅をテレビの仕掛けに精通する達人、淳がまことに上手にこなしていく。
こういう手練れのタレントに任せておけばそれなりのレベルの番組ができる、しかもローカルネタでも定番ではないマイナーでディープなネタを楽しむというところもここまでローカル情報番組が氾濫する中では大切なポイントだろう。淳は歴史、城、社と造詣も深く、既に東海テレビでシリーズも持っている。格付けの厳しさだけではない、引き出しの多さも強みだろう。

SNSで事前の呼びかけで情報も集まるだけでなく、放送後の反応もかなりのものだろう。シリーズが続き、固定ファンも増加の一方に違いない。そういう意味で視聴率とは違う、それこそディープな固定的なファン(視聴者)がいるというのもこの番組の強みだろう。
ハプニングに対しても淳ならではの対応で安心感があり、予定調和でないことをうまくアピールしている。閉店中だった古時計の店については追加取材で店内を撮影して、スタッフのケアも丁寧でいい感じ。

毎回だと思うが、ラストに合唱を持ってくるところが演出として手練れの業。旅の終わりに、あるテーマを設定して、それに賛同する人をスマホで呼びかける。今回は「この春、名古屋を去る人」を「旅立ちの日に」という歌で応援したいとツイートする。大須観音の境内に集まってくる人々。番組の冒頭で見つけた甲冑の製造会社も甲冑を持って駆けつける。
前回はスマホのライトを使っていたように思うが(間違っていたらごめんなさい)、今回のサイリウムはラストの合唱を知っている人の協力?で暗い中でのハイライトシーンを盛り上げる。ラストにこういうエンドを持ってくるところがうまいなあ、と感じる。

こういう構成、演出をどこまで制作サイドが仕掛けられるか。達人、淳に任せるだけではなく、制作サイドがどう演出として立ち向かうか。ある意味、闘い。映像面では編集がその一つでツイートのコメントの表現や画面転換をスワイプもどきに指で動かしたりと工夫が見られる。ただこれも、今やドラマでもツイートの文字が溢れる昨今。いささか食傷気味になってくるのではと余計な心配もする。

名古屋各局でぶらり旅がそろい踏み、情報系の番組でもローカルネタ、ローカル愛を謳うようになったのは時代の変遷を思い感慨深い。ここでその分析をするつもりはないが、ますますネタのリサーチやセレクトするセンス、ネタを料理する個性ある演出が求められることは間違いない。もちろん、タレントの選択もますます重要になってくる。地元出身や各局馴染みのタレントを育てること、ボイメンだけでなく地元タレントの発掘、育成も求められる。

北海道でチーム・ナックスが生まれ、大泉洋が「水曜どうでしょう」からブレイク。今や舞台だけでなく映画、ドラマに大活躍。安田顕、戸次重幸も活躍している。「水曜どうでしょう」のディレクターは名古屋出身で。彼の母がやっていた喫茶店が鶴舞にあり、「どうでしょう」ファンの聖地として全国から訪れる人は多かった。というのもこの店はもう閉店してしまった、というのは脱線話だが、そんな人気者を名古屋から生み出したいと思うのは私だけではないだろう。
澤田健邦