東海テレビ開局60周年記念 未来郵便 10年後のあなたへ

  • 番組名:未来郵便 10年後のあなたへ
    • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2019年3月31日(日)13時45分~

数多くの60周年記念番組のおそらく最後になる番組ではないだろうか?大変たくさんの番組を作られた東海テレビ番組スタッフにはお疲れさまとまず言いたい。この番組はそういう意味では地味な印象の番組だが周年記念にふさわしい視聴者のみなさんに寄り添った内容。開局50周年の時のイベントで募集した「10年後の自分に送る手紙」の企画を紐解き、書いた人に追跡取材をしてこの自分へのメッセージを見てもらい、この10年を振り返る番組。その中から5組を番組では放送。それぞれの人生があった。やはり幸せなだけのエピソードより困難がありながらも懸命に生きている姿に共感は生まれる。難病に侵されながらもラグビーオールジャパンを目指す青年と父母。東京で大学生活を送る息子に父母からのビデオレター。母の気持ちを聞いた青年は涙ぐむが母は気丈に語る。そしてそれを見る父親は母の気丈に感嘆する。確かに男はこうした時弱い。思わず僕もうなずく。脳梗塞に倒れた夫を介護する妻にも自宅へ訪ねた。メッセージを書いたことは覚えてみえ自宅に招き入れる。その時の夫の表情と企画が進展し娘家族が持ってきてくれた誕生日ケーキを前にくつろぐ夫の表情、喜びが表情に出てすばらしいリハビリができていると感じ、ウクレレでストレスを解消しながら介護に尽くす妻の逞しさに感動した。

他にもエピソードはある。番組的には見ごたえのあるエピソードがあり、丁寧な作業が功を奏した。その作業は数多くの手紙を追跡し、訪ね、取材交渉をしたことだろう。その手間やそもそも何通のメッセージがあり、どういう形でこのメッセージを書いてもらったかあまり深く言及はない。簡単にこういうエピソードに行き着くことはない、せっかくの苦労、足跡を手短にまとめて見せたらこの番組はもっと印象深くなるだろう。かなり手間のかかったことをさらりと見せているのがもったいない。謙虚過ぎるのではないかと思った。しかし、取り上げられた人だけがそうだったのかもしれないが、10年前に思っていたことを人は割と忠実に実直に向かっているものだなあ。また、10歳の寺田心君はしっかり者でナビゲーターに適役。大したものですね。

柴垣邦夫