ヴィレヴァン!メ~テレ

  • 番組名:ヴィレヴァン
  • 放送局:メ~テレ
  • 放送日時:2019年5月13日、20日(毎週月曜深夜0時59分)

2回見たが、この番組はどういう経緯で生まれたのだろう?営業的な要請でうまれたのか、それとも制作的な嗜好で生まれたのか、どちらにしても大変スノッブ感の強い面白いドラマ作品をメ~テレは登場させた。HPでいう「名古屋が生んだ奇跡の本屋 ヴィレヴァン」を舞台に、この2回は店員を中心の青春ドラマ。その弾け方がPOPで癖があり楽しい。

実在のヴィレヴァンのテイスト「誰かの好きが溢れていてなぜか居心地が良い」店内を舞台に、展開されるストーリーは1話「ライ麦畑でつかまえて」だし2話「書を捨てよ、町へ出よう」というタイトル。僕はとりわけ「書を捨てよ、町へ出よう」に反応してしまう。寺山修司は僕ら世代が若い頃世の中に少し反発して悪ぶっていた時の象徴的な存在。その寺山を店長役の滝藤賢一がしゃべりマネをする。知っているのだ、この制作スタッフは。「誰かの好きが溢れている」ストーリー展開はまさに奇跡の本屋。こんなおっさんが当時を思い出してワクワクするのは番組の狙いではないだろうが、それでも「2001年宇宙の旅」という言葉に「そうそう」とうなづいてしまう。

そしてキャスティングがとても適材。岡山天音はケガで野球をやめた大学生が徐々にヴィレヴァンに染まっていく店員を熱演、その普通感が心地よい。本多力はオタク感満載で過剰な感じもあるが良いスパイス。ピンクの髪が似合う最上もがはとてもキュートだがレジにこんな店員いたらいいなというはまり役。そうか!モガなんだ!森川葵もヒロインにぴったりの良い空気感。そして、滝藤賢一は時代を感じさせる様々なファッションやヘアスタイルでヴィレヴァンの持っている軽さを存分に表現している。そしてHPのキャストには出ていいなかった気がするが落合福嗣くんが冒頭、番組のナビゲーターとして登場。青二プロの稼ぎ頭の声優とは聞いていたがこんなに良質の声で心地よく立派な立ち姿、知らなかっただけに新鮮。こうしたキャスティングも「誰かの好きが溢れている」。この番組の脚本家も愛知県出身のようだし、ヴィレヴァンも愛知生まれ。いろいろなところに地元愛が詰まっていることもうれしい。かといって番組は地元にコビてはいないし適度な距離感。いまのところ見事な展開です。

最後まで見ないといけないが、今回のドラマは相当良いものだと思う。メ~テレの映画出資や「名古屋行き、最終電車」などのドラマ制作などで培ったドラマ人脈がこうした形で生きているのかと推察するがどうだろう?スタッフの方に教えてもらいたいところだ。僕の好みでもありとても面白かった。

柴垣邦夫