「マンガ飯 凄腕シェフが本気で再現」第二弾 (中京テレビ・バラエティ)

  • 番組名:「マンガ飯 凄腕シェフが本気で再現」第二弾
  • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:2019年6月15日(土曜)24時55分~25時50分

第一弾の感想を書かせていただいたのでその責任も感じ、澤田、柴垣両氏と重なる部分が多いが、筆者の感じた所も披瀝しておきたいと思う。

一番最初に感じたのは、「こなれ感」。これが観易さに繋がった。演出側も演者側も、番組が意図する所、初作の反省点を活かし、本作をどう仕上げたらいいか、という全体的なベクトルの統一が進んだと見えて、観易い、特に深夜にフィットしたテイストが良く出始めたな、という点が挙げられる。筆者が初作で指摘した中間での小ネタのインサートもカットし、それを偉人のグルメに関する名言に置き換えたのはベターな選択。(個人的には名言すら要らないと思うが)恐らく初作はあれもやりたい、これもしたい、が飽和してしまったのだろう。その反省で、冗漫な点が削げたのは良かった。

演者側としても、甲本、詩織両氏の硬さも取れ、役が自分のものになって来たな、と感じ、これもまた見易さに繋がっていた。一方、演出側としても、ドキュメンタリー部分(再現部分)の端折りも思い切り、分かりやすくなった上、映像の工夫、編集の工夫による料理のシズル感などのテクニカル面も向上していた。

やっぱり編成的に拘ったら第二弾は作るべきなんだなあ、と感じた。これで本作に関わったスタッフの一般的な力量も上がったことだろう。そこが貴重なのだ。

以上、改善点を挙げたが、まだまだ良くなる箇所はある。先行した両氏も指摘していたが、原典が古いこと、甲本、詩織各氏の実食の感想がどうしても「脚本を読んでる」感が強く、そこはもう少しリアルな声を聞きたいという面での工夫が要求されるだろう。そして良い指摘だと思ったが、再現料理をメニューに入れるとしたら定価は幾らになるか、というところもドキュメンタリーとして面白いと思う。前作での「縦横不明の厚切りステーキ」が23万円と冒頭で振ったのだから、なおさら。特にシャトーブリアンを使った後半のハンバーガーはトンデモナイ金額になるはずだ。また「三丼フライ」も中学生たちに学校で食べさせるような価格では収まらないはず。そのあたりのリアリティがマンガとのギャップを提示したら面白いのではないかと思う。

全体的に観て深夜の食い物を使った番組として、一定のファンを獲得出来るのではないか、という好印象を得た。第三弾に更なる期待をしたい。「だんだん良くなる法華の太鼓」。

ところで本作のHP、局本来のHPだけでなく、見逃し配信サイトChuunでのビジュアル&テキスト展開とも非常に手厚い。局側がHPに何を期待するのかは各局の事情もあろうが、テキストデータとしてのアーカイブ化(自社利用も含め)を構築する上での意義は高いと感じるのだが。過去の番組情報をwikipediaに任せているようでは番組作りの将来を考える時お寒い限りだ。(KING)