「よみがえるニッポンの海」(中京テレビ:教養)

  • 番組名:「中京テレビ開局50年 サントリーPresents よみがえるニッポンの海」
  • 放送局:中京テレビ 全国ネット
  • 放送日時:2019年7月15日(月・海の日)午後2時55分~午後4時20分

中京テレビは今年開局50周年を迎え、続々と特番が放送される。本作はもう22回目となった同局の海の日特番を周年特番化したもの。最近マイクロプラスチック問題なども取り沙汰されいて、興味深く観ることが出来た。特に「人間が壊したものは人間しか修復できない」という言葉は重く残った。

今回はISSAが沖縄の海を、瀧本美織が鳥取の海を、中村七之助が江戸湾をそれぞれリポートしていた。取り上げられたネタは広義に言ってテレビ初登場のものではないが、改めて沖縄のサンゴ礁の白化などを観ると、海水の温暖化の影響に胸が痛んだ。一方、鳥取の「山が海を育てる」という思想は気仙沼でも発信している人々がいるが、大山~ブナ林という分かりやすい例を出して説明出来たのは良かった。ただし、瀧本のリポートは相変わらずステレオタイプのコメントが多く残念だった。現場で「凄い、柔らかいは禁止」とかいう指示はしなかっただろうか。

コメントでしっかりしていたのは中村七之助だった。江戸湾を再生(水質改善)するためにボランティアで牡蠣の浄化能力に着目して、その飼育場となる竹を浅瀬に刺す作業は初見で、興味深く観ることが出来た。七之助は食レポも含めコメントが的確でどんな演出があったかはわからないが、現場のニュアンスが活き活きと伝わってきて良かったと思う。ただし、寿司屋が一流すぎで、大将がウンチクたれ過ぎだったのがいささか画竜点睛を欠いた感があった。同じ江戸前寿司を食べるにしても、築地とか佃の地元に愛される庶民的な店に行ってほしかった。

昨今のこうした番組はドローンとGo Proの登場で画が多彩になり、CGを使って解説することも容易になったため多角的にネタにアプローチが出来る。本作でもそれらを縦横に活かした構成にし、1時間半に3箇所という長からず短からずのまとめとし、全体に観やすい出来だと感じた。

地球温暖化に伴う海面上昇、マイクロプラスチックスによる海の汚染、また私たちが口にする海洋資源のコントロールなど今地球が海に対し抱えた問題は大きい。この番組が末永く継続し啓発するメッセージを発信し続けることは大変意義深いと感じる。(KING)