愛すべき宝を再認識。CTV「よみがえるニッポンの海」

番組名 :「中京テレビ開局50年 サントリーPresents よみがえるニッポンの海」
放送局 : 中京テレビ
放送日時: 2019年7月15日 14時55分~16時20分

 アスファルトの雑踏から脱出したくなるこの季節には、やはり海が見たくなる。そんなわけで私は、この全国ネット特番をひそかに楽しみにしていた。
 取材対象は、沖縄、鳥取、東京の海。環境保全をテーマにそれぞれの宝を守ろうとする人々とその取り組み方が紹介されていた。選ばれし地元出身リポーターは、ISSA(沖縄)、瀧本美織(鳥取)、中村七之助(東京)。持ち味のまるで違う三人だ。全体のターゲットをイメージし辛いが、彼らは地元愛をもって各自の目的を果たしてくれたと思う。海の日を考えるという番組の使命は、概ね全うできたのではないか。
 さて、ここからは、あくまで外野の立場で視聴した私の感想だ。ひとつめは、大好きな沖縄。自分も「守ろう地球環境」(民放連キャンペーンスポット)の取材経験があるので親近感も重なり、サンゴの再生を手伝いたくなった。阿嘉島は特に素敵だ。ケラマ諸島随一の美しさだと地元のダイバーに勧められたこともあり、いつか潜ろうと企てている。都会から島の学校に留学する子供がいるという事実も粋ではないか。海水を利用してこしらえた島豆腐もぜひ味わってみたい。次に鳥取。大山から注ぎ込む栄養豊富な水で大きく上質な岩ガキが育つという話に納得し、瀧本が満足げにこれを食していた。カキは、海岸に近い場所で育てると旨味が増すとは聞いたことがある。逆に沖で育てれば無菌ガキとなり、当たりにくいが味も薄いというわけだ。つまり、旨味と無菌は相反関係にあるのだなぁ、などと考えながら視ていたら、番組は三つめの海、東京湾に。ここでは上等な鮨屋が登場し、違いのわかる役者が逸品を味わうという趣向。(う~ん、だから七之助だったんだ。)それはいいとして、湾の水をきれいに保つ工夫があるという。カキが雑菌を吸収する習性を活かすため、養殖の仕掛けを作っている人がいるのだ。なるほど、確かに水はきれいになる。良いアイデアだが、鳥取のカキで食欲を刺激された後のこの話は、生理的に受け入れ難かった。申し訳ないが、私がカキにナーバスなのは、かつて「カキ尽しの旅」というロケで、生ガキに酷く当たった苦い記憶があるからなのだ。トホホ・・・。

中島精隆