高度な世間話。「CTV開局50th×名大創立80th  カッティングエッジ 世界を変える科学者たち」

中京テレビ
2019年11月17日(土)15:00~16:25

良い企画だと思う。未来のロボットや乗り物について、技術はここまで進んでいるのかとわくわくさせられた。
視点としてすばらしいのは、コラボの効用を訴えているところ。天野教授の窒化ガリウムに代表される名大のエネルギー変換エレクトロニクス研究館においては、専門分野を超えた連携を狙い「研究者同士の交流」を生み出す仕掛けがあった。スタンフォード大やマサチューセッツ工科大を参考にして作られたらしいが、個々に特定の席を設けていないため、異分野の研究者と会話しやすく、自身の研究に役立つヒントを得やすいというもの。この館のミッションステートメントは「情熱を増幅させ、伝える」ことだという。また、土屋准教授は、自身の取り組む生物学研究(アフリカの主食、ソルガムを枯らす寄生植物を退治する分子開発)において、壁のない大部屋で数学者や化学者と日々議論を交わすのだという。
名大だけでなく、藤田医科大でもトヨタ自動車と共同開発したリハビリ支援ロボットの事例があるようだ。さらに、山本教授(名大未来エレクトロニクス集積研究センター教授)によれば「これまで日本は電気と自動車で先行してきたが、この2分野を融合して空飛ぶ自動車を来年にも実用化できる」という。
好きな分野を極めることには無論価値があるが、「社会との関わりがわかる工学の人間が必要だ」と天野教授が語ったのは印象的であった。番組司会の林修は、「飲んで仲間とくだを巻くサラリーマンは互いのレベルを下げるが、高いレベルの人が集まると互いを高め合う」とコメントした。納得。私もたまにはくだを巻きたいが、昼間はなるべく高度な世間話を心がけよう…。
追記。盛りだくさんの情報を一気に吸収するのがやや大変だった。2つほどネタを削っても企画意図は伝わったのでは。構成バランスとしてはVTRに比べ、スタジオ演出が手薄と感じた。私が壇蜜(アシスタント)に、持ち前のエッジのきいた突っ込みを期待し過ぎたせいかな。

中島精隆