「ゴゴスマッチングTV」(CBCテレビ・教養)

  • 番組名:ゴゴスマッチングTV
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2019年11月23日(土曜・祝)午後1時~午後1時54分

経産省が後押しする産官学連携事業の一環、「開放特許」の有効活用を、この度CBCテレビが事業化し、それを告知するための番組がこれ。「世の中に眠っている特許権と商品開発を行う企業のマッチングを促進する」(プレスリリースより)つまり大企業に眠っている特許を有効に使える中小企業などに紹介、マッチングさせ、商品化させようとするものだ。詳細はCBCテレビに「マッチングチャント」というサイトが立ち上がっているのでご一読されたい。

この番組を観て最初に思ったことは放送局がこうしたB to Bのビジネスを地上波に載せる時代になったのだな、という感慨だった。大方の視聴者には関係のないビジネスの世界の話題。紹介される開放特許のマッチング成功例は事象として珍しいから面白い、という見方はあるのだろうけど、それが一般人の生活に何か役立つとか娯楽として楽しいという性格の番組ではない。

かつてテレビの電波に乗る番組の先には大衆があり、その視聴者に向けた報道であり娯楽であった。本番組のようにビジネスの世界で完結する番組を作ることは無かったのではないか。それほど今の地上波の置かれた経営事情は複雑だということだろう。この番組には”経済産業省中部経済産業局から「中小企業知的財産活動支援事業費補助金」の交付を受けています”というテロップが2回出てくる。国の補助金をCBCテレビと番組にも出ていた富澤正氏が経営するPATRADEとが組んで取ってきたものだとお断りを入れている。

つまりこれは国の施策の広報の一環であり、CBCはそのお金の一部を頂いて新規ビジネスを立ち上げましたよ、というお断りだ。筆者はその善悪を言っているのではなく、これまでも国や県などの自治体の予算を使って番組を作って来た歴史は長いが、その番組の対象が企業である、というのはCBCテレビにおいてはまれだったのではないか。そうした時代になったのだな、と思った、ということを言いたかったわけだ。

さて番組はゴゴスマのセットで社員である石井アナが司会を努め、ゲストとして岡田圭右と皆藤愛子が参加、解説として弁理士でありこの新規ビジネスをCBCテレビと組んで立ち上げた株式会社PATRADEの富澤正氏が前半はCGキャラとして、後半は本人自身が登場していた。おそらくコンペでは人気の「ゴゴスマ」のブランドと石井アナの人気を借りて注目させ、土曜の午後1時という比較的良い時間を出して勝ったのだろう。制作費はタレントのギャラと取材VTRの稼働費、ポスプロ経費くらいで、間接費である社員をフルに使って制作費を落とした。すでにある番組の座組みを上手く使った引っ張りがうまかったといえるだろう。

内容はごく普通の出来であるが、岡田がボケの割にけっこういいコメントを吐いていたのが面白く感じた。石井アナの進行は安定感抜群だ。紹介された成功例もなかなか興味が深いものだった。一般消費財を入れたのも正解だったろう。

さて、このビジネス。紹介は済んだ。HPも立ち上げた。これからが勝負だろう。今後の行方に注目したい。(KING)