「バヤルタイ モンゴル抑留 72年越しのさようなら(NNNドキュメント版)」・中京テレビ・ドキュメンタリー)

  • 番組名:「バヤルタイ モンゴル抑留 72年越しのさようなら(NNNドキュメント版)」
  • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:2019年12月16日(日曜)午前1時05分~午前2時

今年の9月にローカル番組で放送された感想は既にアップさせていただいた。先般柴垣氏から、この番組がNドキュ枠で放送されること、その放送にあたってこの「テレビの旋風」で指摘されていたことについて手入れしてみた、という連絡を受けた。

というわけで、あれこれ指摘した方としては責任もあるので視聴してみた。結果、ほぼ欠点の無い仕上がりになっていたと感じた。まず、タイトルと言葉の意味は冒頭に持ってきた。ホンゴルズル記者と友弘さんとの関係については時制を整理して並べ変え、自己紹介を含め、非常に分かりやすく整頓されていた。大変見やすい構成となった。(本作をこのタイミングで視聴した視聴者には関係のないことだろうが)

つまり8年前に新聞記事で母国で日本人抑留者が国の建物建設に携わっていたことを知ったこと。これに興味を持ったホンゴルズル記者は2年前に靖国神社で開催された「モンゴル会」を取材したこと。そこで友弘さんという92歳の男性と知り合ったこと。そして友弘さんが94歳になった今年、彼の最後のモンゴル訪問に同行したこと。そしてそこで色々と考えた、ということが非常に分かりやすく並んだ。更にシベリア抑留についての説明や抑留者が日本に帰国する下りの唐突感も納得行くレベルに説明と整理が加えられていた。

さらに三人称ナレーションを男性アナウンサーに任せ、一人称ナレを自分が担当するというふうに分担する工夫をした。これも非常に良い効果を生んだ。

以上の整理整頓の結果何が生まれたか。それは友弘さんという人物とホンゴルズル記者の二人の輪郭がよりくっきりと浮かび上がって来たのだ。つまり番組の主張がよりクリアに前に出てきた、ということ。番組のレベルが一つ上がった感じだ。

ローカルとネットという2つのチャンスを与えられた本番組は幸せだったかもしれない。より厳しい目にさらされるネット枠(しかも枠大での放送)での放送枠が与えられたことで制作者は一回目の放送の反省に立ち、視聴者に自ら訴えたいことをブラッシュアップ出来たのだから。おそらく横尾Pと相当話し込んだのではないかと想像するが、こうした過程がホンゴルズル記者の番組を見る目を鍛えてくれたら嬉しい。そして次作に期待したい。

なお本作は22日日曜日午前11時からBS日テレで再度放送される。(制作者冥利に尽きるなあ)(KING)