スポーツスタジアム魂

  • 番組名:スポーツスタジアム魂
  • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:2020年4月12日(日)16時55分~17時25分

もうかなりの年数、ドラゴンズ、グランパスを中心に放送しているスポーツのレギュラー番組。望月杏夏アナウンサーがMCで今回は立浪さんがスタジオゲスト。

新型コロナウィルスの感染によるほとんどのプロスポーツが休止している状況の中で苦肉の策として、前半は「今こそスポーツの力を!アスリートからエール」としてラグビーのトヨタの茂野選手がVTR出演、ワールドカップ日本代表のONE TEAMぶりを振り返り、感染に負けず頑張ろうというメッセージを述べた。

そして、もう一つのコーナーが「スポーツの裏にドラマとエピソードあり、スタッフが厳選ベストシーン」とし、まずはカメラマンの平田君がセンターカメラとして撮ったベストシーン。2006年4月の中日vs巨人戦、9回同点の中、巨人上原の球を中日立浪が満塁ホームランを打つシーンだという。得点ボード横のセンターカメラから立浪の打つ、打たれた上原のボールを追う顔、ホームランを喜ぶ中日ベンチの落合監督、そして立浪がホームに帰って来た時まだボールが飛び込んだライトスタンドを眺めがっくり肩を落とす上原投手。平田カメラマンはこのシーンをカメラマンとして生涯やっていける自信になったと言う。番組では平田カメラマンがこの時押さえた映像をずっと追った。一方、スタジオで立浪さんはこの時のことをよく覚えているという。9回表に立浪さんは自身のエラーでピンチを迎えたが川上憲伸投手が抑え、裏にチャンスが回ってきて阿部捕手との駆け引きの末、ホームランが生まれたとエピソードを語る。スタッフに想いがあれば、選手にも想いがある。

もう一つのエピソードが2005年の「中京テレビブリヂストンレディス」で宮里藍が優勝し、この時はアマチュアだった諸見里しのぶが首位に並ぶかという18番ホールのバーディパットがカップ直前でわずかに切れプレーオフを逃したシーン。当時の実況アナウンサーだった藤井君が、このシーンの実況をあえてせず無言で諸見里選手の悔しそうな顔を見せたと言う。自分が語る言葉より彼女の顔を見るだけで伝わるものがあると言い、フロアディレクターが「しゃべって!」という合図を制し、無言で語ったシーン。今はアナウンス業務から離れている藤井君が嬉しそうな顔で語っていた。

どちらのエピソードも、カメラマン、アナウンサーの胸にずっと残っていた自分にとっての名シーンだろう。今回新型コロナウィルス騒動により出てきた企画。こうした危機をみんなの知恵でクリアしていく、これこそONE TEAM。「ピンチがチャンス」はスポーツの世界だけの言葉ではない。正直こうした企画はどこの局もやって来たものだと思うが、こういうネタがない差し迫った時に制作スタッフが力を合わせて乗り切ろうとしている意欲に少しほっこりした。

柴垣邦夫