むしろ新鮮、レトロな演出。メ~テレ「ワンモア」

番組名 :「ワンモア」
放送局 :メ~テレ 
放送日時:2021年5月18日(火)0:15~

最近気になったニュースは、ワクチン接種の優先順位についての問題。ある行政の首長が、高齢者でもないのに高齢者と同じタイミングでワクチン接種を行なったことが取り沙汰された。しかし、これが大問題のように報じられたのはなぜだろう。非常時収束の重責を担うリーダーには当然、人一倍健康でいてもらわなければならないのに…。在野精神は結構だが、これをいかにも批判めいた論調で一方的に報じるのはおかしい。必要な特例を認めるルールに不備があったとか、事前説明が不足したという俯瞰的な見方ができないものか。また、リーダーは、もっと自信を持って「志」を語るべきだ。そしてマスコミは、つまらないことに目くじらを立てるのをやめよう。

変わってドラマの話。主にキー局の制作だが、最近は硬軟にわたり、見応えのある作品が増えた。警察組織の派閥争いや病院の研修医のもがきをテーマにしたシリアスもの、離婚経験複数回の女性社長の周辺を哲学的に描いた文芸もの、実社会に縁遠い漫画家の虚像を楽しむ空想もの…。また、ローカルでは、メ~テレ制作の「ワンモア」も存在感を発揮していた(先週が最終回)。映像や芝居のタッチは、70年代の青春ドラマを彷彿させるので、今なぜこれを?という不思議な違和感に襲われたが、それもひとつの魅力。回ごとに別のキャストにスポットを当て、その人物の「志」を愚直に描いていた。そして、このドラマには所謂スターが不要であった。今の世の中は、個々が自分の持ち味で闘えばそれで良いのだと思わせてくれる企画だったように思う。

中島精隆