(全国ネット化版)「サンドウィッチマンのZOO1グランプリ」(CBCテレビ・バラエティ)

  • 番組名:「サンドウィッチマンの(どうぶつ園飼育員さんプレゼン合戦)ZOO1グランプリ」
  • 放送局:CBCテレビ(毎週火曜午後7時~)TBS系全国ネット
  • 放送日時:令和4年4月26、5月3、17日 2時間SP

慎重を期して、3本観てから書くことに決めていた。全国ネット化され、高視聴率を誇っている同じ名古屋発の中京テレビ「オモウマい店」の真裏に当たったこの番組、名古屋発番組対決として放送前から注目度は高かった。2つの番組とも、何回か特番で放送して当たり全国ネットへ進出していった。

ZOO1グランプリは特番放送時に筆者もここに感想を書かせていただいたが、まさにコロナ禍のど真ん中で、リモート中継を上手く取り入れ、誰にも文句を言わなれい可愛く興味深い動物を取り上げた好企画で、レギュラーネット化されるんじゃないか、という予感があった。大昔からテレビ広告やテレビ番組制作の世界では「3B」というヒットの法則があり、ビューティー、ベイビー、そしてビースト(動物)がそれだ。本番組はそのうち最後の「B」を取り上げたというわけだ。

動物は打算がなく、今の閉塞した気分が充満する社会において、人々に安らぎと癒やしを与える絶好の存在。それを単純に見せるのではなく、「イケメン部門」や「振る舞いが人間のような動物部門」とかの、部門別に分けて、全国50人くらいだったか、飼育員をZOOMで繋いで1位を投票、グランプリになると、好物の餌が賞品としてどっさりと貰えるというアイデアも上手い。飼育員は自分の動物園の自慢の動物をプレゼンするナレーションも担当し、時に撮影もし大活躍。この番組の一方の主人公といえよう。また良いキャラクターが揃っている。飼育員しか知り得ない「特ダネ」の話題も知的好奇心をくすぐる。また、外国の動物園を紹介するコーナーも有り、これもなかなか興味深い。自分が知らないことの多さに驚く。「観たことのない動物の珍映像、希少映像(海外も含め)」を視聴できるのが楽しい。

司会のサンドウィッチマンだが、メインの進行ではなく、ボケたり突っ込んだりという役目でこれがまたなかなか良いところを突く。彼らをローカル版の時からキャスティングしておいて良かった。番組全体がほのぼのとする。若手お笑いタレントをロケに使うことにより、スタジオと素人集団である飼育員さんたち動物園サイドの融和剤的な役割も上手く機能していた。

4月末に始まった全国版はCBC制作ではあるが、いわゆる「プロダクションCBC」で営業権(ローカルバラシか)、編成権はTBSが持っている共同制作のような体裁だ。この制作の下支えをしているのがCBCグループの制作プロダクション「CBCクリエイション」である。28年ぶり?となるCBC制作番組のゴールデン進出を支える制作力の強化に期待も大きい。

ところで、この番組は本来1時間番組であるが、ずっと2時間スペシャルで放送されている。(制作する方は大変だと思う)裏番組対策、あるいは表案全体の数字アップを狙って「バナナサンドSP」とのいわゆる「たすき掛け」が続くのだろうか。今のところ「バラエティ」というより「教養番組」として観させてもらっているが、2時間が続くとネタ枯れにならないか、心配になる。(2時間は長くて飽きるという声も筆者の耳に入ってきた)全国の動物園の数は限りがあり、面白い動物もそうはたくさんいるわけでもあるまい。これを演出陣がどう仕切るか、先の長いシンドい仕事が待っている。「オモウマい店」についても同じことがいえるだろう。

さて、名古屋対決。視聴率では「オモウマい店」の背中が遠いのが現状のようだ。個人、世帯ともに。サンドウィッチマンの使い方がもったいないという声も聞こえてくる。また本来1時間の番組が、ずっと2時間SPで行くというのは火曜19時枠が落ち着かないのではないか。今の時代、親子で安心して観られる番組、というのはコア視聴率的にはダメで、もっと中高生、大学生、若い世代を引き付ける演出が要求されるのだろう。ほのぼの感が消えてバラエティ感が強くなるのかもしれない。そうすると今のほんわかした作りが好きな筆者などは、離れていくのかもしれない。世知辛い世の中だが、せっかくの面白くてためになる番組が、多くの視聴者の目を捉えられるよう、制作陣のさらなるブラッシュアップを期待したい。面白くて良い「教養バラエティ番組」であることは太鼓判である。(KING)