正月帰省バラエティ「たまげた実家グランプリ」

  • 番組名:たまげた実家グランプリ
  • 放送局:中京テレビ(全国ネット)
  • 放送日時:2023年1月3日(火)16時30分~

梅沢富美男にIKKOがスタジオ出演者、MCは山里亮太で内容が実家グランプリとあったので、正月にありがちでそつなく見せてくれる番組かとあまり期待せず見てみたが、予感は外れ充実の番組。タレントに頼ることのない迫力取材VTRのオンパレード。次々と繰り出る濃厚なVTRに時間はあっという間に過ぎていった。

街頭のインタビューで4000人に声をかけたというのは眉唾ものだが、日本各地の面白くユニークな実家を集めた。最初のネタが実家には縁戚者で最大80人も集まるというもの。家に入りきらずに庭にも人は溜まっている。これがベトナム戦争から避難してきたベトナム難民一族で最初は10人兄弟が子供や孫が増えて80人にもなってきた。僕の偏見かもしれないが、ベトナム難民一族をこれほど普通に出す番組をあまり見たことがない、しかも先頭のネタとして。ついついもっと特別扱いしてしまうことが多いが、この番組制作者は関係なく普通に出していく。ここでの出方は「男は飲んで話すだけ、そしておばさんはそんな男を叱る」というイマドキではない普段着の日常。飾らずでも逞しく豊かに生きている家族たちの絆。取材VTRがとてもさりげなく肩に力が入っていない。居る人達になじんだ取材をしている。

続いてのネタは家の中に5メートルの観葉植物があるお家。そこで水をやるお母さんが水をこぼすし、観葉植物の名前を知らないとオホホと照れ笑い。そしてトイレが7つもある香川の大豪邸。愛知県西尾の変わった動物がいっぱいの家庭でバーベキューパーティー。どのネタも自然で取材先になじんでいる。「PS純金」「オモウマい店」の取材DNAが継承されていると思ってしまう。ともかく取材VTRが面白い。山里のネタの拾い方は気が利いているが、いつもピンを張っている梅沢富美男やIKKOの「おったまげー!」は目立たない。

Pは簔羽君で「それって実際どうなる課」を育てた男。スタジオに華丸大吉に生瀬、大島(森三中)を揃えながらその会話をあまり生かさないと言われながらも企画VTRで勝負してきた男。今回の梅沢、IKKO,押切もえにMC山里はかなり良いキャスティングだと思うが、そこにほとんど頼っていないのも彼ならではかなと思っていたが、今回の企画は演出の林君の企画と聞いた。いろんな人が自己主張しているんだなあとうれしく思う。

ただ、一つ気になったことは実際に街で実家インタビューしたのかということ。真偽は知らないが出てきたインタビューを受けた人がことごとく面白VTRにつながっている。細かいことを気にしなくてもよさそうな空気もあるがここをうまく処理するとさらにリアリティがでるかな。年始の単発と言ってそういう所もおろそかにしない方がよいと思う。

でも人間賛歌の精神がどのVTRにも貫いており、僕は好きな番組だ。

柴垣邦夫