「太田×石井のデララバ」(CBCテレビ:バラエティ)

  • 番組名:「太田×デララバ(初回2時間SP)」
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2023年10月18日(水)午後7時~午後8時55分

CBCテレビにゴールデンで自社制作レギュラー番組が登場するのは『サンドウィッチマンのどうぶつ園飼育員さんプレゼン合戦 ZOO-1グランプリ』以来か。この番組はローカル放送。地元愛に満ちた番組を謳い名古屋めしに特化したグルメドキュメンタリーを毎週水曜日の午後7時に持ってきた。初回は2時間スペシャル。裏番組も10月期の特番攻勢の真っ只中だ。数字はどうだったんだろう。

テレビ各局バラエティはそのスウィートスポットを探って必死だ。「ポツンと一軒家」は山深い一軒家にまつわるドキュメンタリーだが、そのルーツは「笑ってコラえて!」のダーツの旅にあるように思える。中京テレビは「PS純金」から派生した「オモウマい店」に新たなスウィートスポットを見出し、両番組とも依然として高視聴率を誇る。この手法のスピンアウト番組にもトライしている。最近のロケ型バラエティはこのようなドキュメンタリーの要素を加えたものが多く、ひな壇バラエティとは一線を画す予定調和破壊型に新たな地平を見出そうとしているようだ。視聴者も芸能人の「読める」笑いよりも、何が起きるかわならない、あるいは知らない世界の提示の方が緊張感があって面白いのは確かだ。

さて、本作。今回は初回ということで2時間だった。(以前特番として「味仙」を取り上げていた)その実力は1時間レギュラーになる次回以降にまたじっくりと観させて貰うとして、今回の「矢場とんSP」に限っていえば、2時間飽きさせることなく引っ張れたな、と感じた。総じて企画が上手くハマったといえる。グルメドキュメンタリーの手法としてCBCは誰でも知っている超有名店を深く取材することで見えてくることを狙った。意外に地元の有名な事象って知っているようで知らないものなのだ。そこに爆問太田とCBC出身の石井アナを配し、店でVTRを観ながら自分たちも店を取材するという複合的な構造を持たせた。太田はやりすぎると毒気が出すぎて辟易するが、今回についていえば「混ぜっ返し役」「ツッコミ役」として上手く機能していた。石井もノリツッコミ系だから時としてダブルツッコミとなるが、それをいっしょに進行している素人いじりや店員いじりに上手く機能していたのではないか。石井は安定の進行。計算できるところへ、予定調和を崩す太田(実はああ見えて常識人)という組み合わせはいい感じだ。太田の暴走を石井が受け止めて立て直すことができるのは大きい。太田もそれが分かっていて暴走出来る。

2時間見ていて頭に浮いてきた言葉を並べよう。「イントロ長すぎ」「テレビ愛知的」(悪い意味ではない)「ディレクター、編集マン殺し」「字幕爆裂(字幕制作者殺し)」「上手くハマると面白い太田のキャラ」「漫画家小山ゆうじろうのウマ下手イラスト上等!」「矢場とん応援団大阪のMABOさんの人間ドキュメンタリーいいね!」「ディレクターが持つカメラがメインでない安定感」。

2時間の長尺を得て、矢場とんの深掘りから同社社会人野球部の話題、その応援団長を買って出た矢場とんラバーのMABOさんの密着ドキュメントと幅も広げて取材出来た。1時間となると正味43分位だからどこまでバリエーションを深く広く構成できるかにかかる。構成にCBCクリエイションの演出スタッフの名前を見つけた。制作著作はCBCテレビだがCBCクリエイションが協力している制作陣のようだ。今回はまさに矢場とんのわらじとんかつ並に満腹だった。次回レギュラー1時間版は「CoCo壱番屋」だという。さてどんな仕上がりを見せるか。楽しみだ。レギュラーについてはまた書いてみたい。勢いを感じる番組だった。(KING)