定点取材に共感。THK「ニュースONE~大谷ジャーナル~」

放送日時:2025.3.14(金)15:45~
放送局:東海テレビ
番組名:ニュースONE

14年前の3月に東日本大震災は起き、福島の原発事故を招いた。
以来、被災地で暮らす住民は生きていくための地道な努力を重ねている。県外からの支援や移住者の力を借りながら復興をめざす川俣町に「大谷ジャーナル」はスポットを当て続ける。

かつて愛知県日進市役所に勤務していた宮地氏(現在65歳)はここに移住し、復興事業に情熱を注いできた。ところが成果はすぐには得られず「次世代へ繫いでいきたい」と前回(3年前)語っていた。そのわけは、町立の山木屋小・中学校の改修(2018年)で人口回復を図るも故郷に戻る人はほとんどおらず、1年後に休校を余儀なくされたからだ。しかし、今回の佐久間教育長への取材で2名の入学が決まり、6年ぶりの開校を控えていることがわかった。さらに県立川俣高校(生徒数約50名)では新たに県外からの学生も受け入れるとし、早速19名(県外からの2名を含む)の新入学が決まったとのこと。(1名は名古屋から!)「不登校など集団に馴染みにくい生徒も受け入れたい」と教育長は言う。こうした多様性重視の学びの場作りも復興の弾みになれば良いと願う。

また、復興予算で建てられた商業施設「とんやの郷」では月に1度、マルシェが開催される。ベラルーシ出身のナスタッシャさん(26歳)も「地域おこし協力隊」の一員として3年前から参加。彼女は2017年、大学の交換留学制度で来日し、山木屋地区の温かさに惹かれて移住した。宮地氏らが手掛けるNPOの農場を手伝いながら商品開発を行っている。「気候がベラルーシに似ている」ため、レモンバーム、カモミールといったハーブティーが育つ。彼女の考えでは人口が増えなくても山木屋地区に関係する人の数が増えてくれれば成功。そして、この先もここで暮らしたいのだと言う。

現場取材を続ける大谷キャスターが「振り返りながらも前に進むこと」の意義を訴えたが、私も同感だ。地元愛を尊重しながらも以前と同じ町に戻すより未来に向けた取り組みを見つけることが大切だ。ぜひまた、数年後にここを取材して頂きたい。

中島精隆