番組名:恋と戦争
放送日時:2025.12.24(水)AM0:30
放送局:THK
若い世代との向き合い方について考えさせられる番組だったので遅ればせながら、これを書きたくなった。
金城学院大学には、社会課題と向き合うという趣旨で学生達が戦争や震災を経験した方々に話を聞き、後世に伝えるべきことを考えるというゼミがある。これに密着したのが今回のドキュメンタリーだ。
まずは、自分達が最も興味の持てる切り口で戦争体験者にインタビューしようということになり、戦時中の恋愛エピソードを引き出そうと躍起になる。しかし、対象者に軽くあしらわれたり、戸惑いのあまり絶句されてしまったり…。99歳の女性は、当時の日記の中に出征した夫へのやるせなさを綴っていたが「誰も私の気持ちを分かってくれない」と漏らす。「もっとしっかり聞いてほしいのでは」と実の娘は推し量る。
相変わらず「恋バナ」にこだわりながらテーマ研究を進める学生達だが、この活動の一環としてラジオ番組制作にトライした際には、戦争そのものへの掘り下げ不足を関係者に指摘されてしまう。ゼミの指導者である都築教授(57歳)の悩みのタネもここにあり「これを機に彼女達が戦争(という問題)に興味を持ってくれなければ空しい」と呟く。
次のテーマは震災。東日本大震災の被災地へ出向き、被災者の話を聞くという取り組みだ。指導の成果もあり、彼女達は自律的に勉強した上で現地を確かめたいという気になる。基本課題を「記憶の残し方・風化との向き合い方」とし、子を亡くした母の話を現地で傾聴。大粒の涙…。「どうしてこうなってしまったかを考えることは戦争(の原因を考えること)にも通じる」と学生のひとり…。いつのまにか本気になっていく心の変化が読み取れ、この活動に意味があることが伝わった。
「何かを伝える仕事をしたい」という学生は、言葉を選んで使うことの大切さを知っているようだ。今は経験が浅くても成長機会の模索に前向きな人は将来、何らかの「語り部」になる資格を持ち合わせているのではないか。若い人たちを見守りながら、私自身も新たな学びに貪欲でいたいと思う。
当ドキュメンタリーの企画意図が若者の成長記録だったかどうか分からないが、手探りの取材を経て、かなり苦心してまとめ上げたように感じた。若い女性Dとベテラン男性Pとの制作過程における熱っぽい議論を想像すると嬉しくなる。
中島精隆