「それでも恋する」(CBCテレビ・ドラマ)

  • 番組名:「それでも恋する」
  • 放送局: CBCテレビ
  • 放送日時:2018年10月6日 午後2時~午後3時24分

「CBCテレビが毎年この時期にこの時間帯で全国ネットする単発ドラマを観た。
CBCはこの枠で数年前、脚本に地元美濃加茂市出身の北川悦吏子を3年連続で使い地元を舞台にしたファンタジーラブ・ロマンスを制作するなど、意欲的な企画に挑戦してきた。

その枠で今年はおそらくCBCとしては初となる岡田惠和を使い、三重県志摩地方にロケをした、いかにも岡田脚本らしいライトなラブ・コメディ風な中にちょっぴり人生の酸っぱさみたいな味付けをしたドラマに仕上げた。CMを除くと70分前後の本編で繰り広げられる「会話劇」に、どの程度のシンパシーを感じられるか、楽しみに観た。

地元育ちのアラフィフの独身三人(一人は離婚)が営む民宿に、若い大学生が現れたことから3人に「恋心(に似たもの)」が生まれ、共同生活にいささかの波紋が生まれるという骨子を和久井映見、西田尚美、木村多江の三人の芸達者が岡田脚本と堀場演出に乗っかって繰り広げる「いい年をした女性の心に生まれた恋心の痛い会話」が味わいどころなのだろう。

三人をかき回す(結果となった)大学生を演じた志尊淳がむしろ抑えに回るほどの「痛さ」っぷりはそれなりに出ていたと感じた。親友3人が一人の大学生に振り回される「コケット」さは演出側としては狙い通りだったろう。が、個人的には「痛すぎ」た。3人の会話劇が上滑り気味で、「痛さ」を楽しむよりみていて「痛々しい」ほどになってしまっていた。
最後のおちは単発ドラマでは仕方のないとは思うが無理矢理感がつきまとう。

全体に破綻のないいかにもCBCらしいドラマの出来とはいえるし、この手の味わいのドラマを以て芸術祭にエントリーするチャレンジも買いたい。が、ドラマとしての「薄さ」を感じたのは残念だった。
一方で、相変わらずの堀場監督の凝ったアングル、固定カメラを基本とした画作りは安定感抜群。
また大きなイメージセンサーをもったカメラを使ったシネマチックな深みのある映像も作品の味付けに貢献していた。
ただ、毎度云われることだが、この手のドラマは夜のほうがいいんじゃないかなあ。もったいない。

本作は監督とPとして付いている若手の尾関氏以外のスタッフは東宝映画である。このところのCBCのドラマはこういうスキームが続いている。堀場氏はCBC最後のドラマ演出家となるのだろうか。
在名局がドラマ演出家を自前で持つべきかどうかは別の機会に書いてみたい。」(KING)