「地元で発見!こんな所にスゴイ人 銅像スター調査隊」(東海テレビ:バラエティ・教養)

  • 番組名:「地元で発見!こんな所にスゴイ人 銅像スター調査隊」
  • 放送局: 東海テレビ
  • 放送日時:2019年2月22日(金曜)午後7時~同52分

まだまだ続く東海テレビ開局60周年記念番組。昨年の5月に第一弾が放送され第二弾も周年記念だ。5月の評判が良かったのだろう。週末に家族揃って観るに相応しい番組といえるが、裏番組はネット、ローカル入り乱れての激戦地帯、視聴率はどうだったんだろうか。当番組は同局がBPOに「青少年に観て欲しい番組」として登録している。

番組はローカルに徹したもので、普段私たちが何気なく見過ごしている銅像、そこに焦点を当て、「この人は誰?」「どんな偉業を成した人?」という素朴な疑問を解明していくもの。筆者はこうした謎解き教養系の番組が大好きなので結構面白く観させて貰った。スタジオMCに加藤浩次、アシスタントに浦口アナ。パネラーに伊集院光、武井壮、光浦靖子を配し、VTRのリアクションを担当させた。パネラーのメンバーは5月の時とは異なる。先回「コツコツ人生館」では「合わない」と書いたナレーションの服部潤さん、こういう味付けの番組ではいい感じだった。

さて、今回は伊勢市の野球場前にある「沢村栄治」の銅像と、瑞穂競技場の前にある「日比野寛」の2人について、その人生を紐解く。「人に歴史あり」で、その知られざる人生は駆け足説明であったが、特に、愛知一中の校長だった日比野の半生は、筆者自身も知らない事があり、興味深かった。沢村は割と人口に膾炙されているので新鮮さ、という点では劣ったが、宇治山田駅前に沢村の新しい全身像がこの春、建立される、という情報と映像はタイムリーだった。

スタジオのタレント以外はゴールデンの作りとしては横並びのネットものに比べれば奇をてらう作りでもなく、地味ではあるが、同局の周年のキーワードでもある「地元を大切にする」というコンセプトに照らせばぴったりであり、筆者はローカルの番組はこれでいいと感じている。「地元の銅像」(東海三県の銅像で地元と縁のないものはそうはないだろうから、そういう点でもローカリティの発掘という面で面白い着想だ)という点に着目し、その背景を取材するという金脈は、あと少し使えそうな感じである。またロケ技術を別として、自社内制で仕上げた(と思われる)のも好ましい。よく見るけど、なんだか分かっていない歴史ある建物、などにも応用が効きそうだ。

大向こうを唸らせるような、特に驚くような番組ではないが(失礼!)こうした地道な着眼点と制作体制を大事にしていくことがローカル局として重要なのではないか。可能ならば、MCが板東英二クラスの地元に根ざした人気者だとさらにいいし、同局の「ぐっさん」やCBCテレビ「花咲かタイムズ」の東貴博のように長く続けることで地元の香りのするキャラクターを育てることも可能だろう。やはり地元に取材した番組を息長く作り続けることはローカル局として大切なんだなあ、(制作のノウハウだけでなく、タレントを育てる面でも)とつくづく思ったのだった。(KING)