千原兄弟のせいじ記者クラブ

  • 番組名:千原兄弟のせいじ記者クラブ あの出来事をせいじが取材したら‥
    • 放送局:中京テレビ
  • 放送日時:2019年3月31日(日)15時00分~16時00分

オバケ番組になることを夢見て日曜午後帯に放送している中京テレビの実験枠「オバケSUN」の19弾。

今回は誰とでもざっくばらん、本音で語り合える千原せいじの本領を事件物でも発揮してもらおうと、ワイドショーなどで盛んに取り上げたけど真実がはっきりしていないもやもやとした出来事の本人に直接千原せいじが取材するという番組。千原せいじが主役だが千原ジュニアも出演、兄弟の番組になっているところに愛を感じる。また、スタジオ部分に堀尾氏が出演していることで事件状況を理解して番組が展開していることを証明している。

収録場所はどこかのオフィスの一角のようで少し変な様相。制作費があまりないのでこうなったのかなという感じ。確かに千原せいじは背が高い。いつも画面で見る限りはジュニアが高くてせいじは低いのかなと勝手に思い込んでいた。

番組前半は「紀州のドンファン」事件の元家政婦にインタビューしていく。バイトをしているというスナックに行き電話でのやり取りがあり最後には会う約束を取り付ける。そこまでの過程をつぶさに回し、せいじの人身取り込み術をドキュメントで見せていく。最近行かないスナックの心安らぐ感じが染みる。そして後日元家政婦と関西国際空港でついに対面、元家政婦の人柄をしっかり映し出す。最初は疑っていたせいじも、事件に登場した時の服装の派手さで疑ったと元家政婦に伝え、こうした時はもう少し地味な格好をするものだと説く。確かに認証心理学であるように服装や化粧の印象は大きな先入観を生む。そうしたやり取りがある中、せいじに彼女は語っていく。

また、シリアで人質として拘束され解放された安田純平さんにも直接せいじが直接対面、取材した。報道番組では固い表情をしていた安田さんが、せいじの前で柔らかい表情を見せていく。そこで語っていることはどこまで本音かわからないが、人間がいた。元家政婦でも安田さんでも事実は何か、正義は何か、はっきりしていないことが多い。取材する側は利用をされてもいけないし、偏向した内容でもいけない。そのあたりをどうやって担保していくのか、報道局の記者とも連携したようでどこまで責任をもって担当してくれたのかわからないけど、きちんとした対応が必要である。人柄が面白いと本人をもてはやすのも違うだろうし。でも千原せいじの人間力はとてつもない。世界の辺境の地でも逞しく友好関係を築き帰ってくる彼が事件渦中の本人と語る、確かにせいじならではの番組だ。でも危ない局面とは紙一重だから、スキームをしっかり検証するとよいのではないだろうか。

柴垣邦夫