「世界のおうちヒックリカエシマSHOW」(中京テレビ:バラエティ)

  • 番組名:「中京テレビ開局50周年 国際中継クイズバトル 世界のおうちヒックリカエシマSHOW」
  • 放送局:中京テレビ(全国ネット)
  • 放送日時:2019年5月18日(土曜)午後1時30分~2時55分

今年は中京テレビ開局50周年ということで、たくさんの周年特番が制作されることだろう。楽しみなことである。さて、本作もその1つで、昨年11月、日曜午後の実験枠「おばけSUN」で放送された企画が、装いも新たに晴れて全国放送になり、この実験枠としても初期の目的を果たした形となった。

本作は、3元中継と称し、日本のスタジオをハブにして、放送時間内に日本と2カ国から選ばれた家庭の家の中のものを全部外に出してもらい、スタジオからそれぞれの国に関するクイズを出し、正解すると希望する賞品が貰えるという体裁だった。スタジオ進行は、前作に次いで、サンドウィッチマンと伊集院光、それとタレントのYOUの四人。

前半は芸人、「流れ星」瀧上の高山の実家とフィンランドを繋いだ。ほんとに家の中もモノを全部外に出しているとは思えないが、瀧上の家は旧家なので、古いものを含めて点数が多いこと。それに比べフィンランドの一家は若いとは言え、家財が少なく、生活スタイルの比較にもなっていた。

後半は、茨木の一般民家と灼熱のインドを結んだ。

それぞれ家にあるものから文化の違いを紹介したり、クイズでの回答により、文化の違いを感じさせるような作りにしたかった企画意図は理解できた。

しかし、である。まず、異文化の紹介は殆どがVTR別取材によりなされていて、家の中のものを全部出すという(池の水ぜんぶ抜きます、の企画に似ているなあ)意味がほとんど感じられなかったのが残念だった。これなら家の中でもよかったものを、と。ただ単に絵づらを面白くすることだけに思えてしまった。先般同局で日本人の平均年収は世界でどこくらいの生活が出来るか、という趣旨のネット番組が放送されたが、そちらのほうが数段出来はよかったし、情報の鮮度や驚きも多かった。フィンランドのホールケーキの型抜き道具と、インドの気温が50度を超えていてカメラが一台壊れた、というハプニングが一番面白かったかな。

さらに、前半では芸人のボケが煩かった。ボケ合戦ではないので、程度を考えないと白けてしまう。全体として新鮮な驚きが少ないウチに終わってしまった。この番組のに救いがあったとすればスタジオのサンドウィッチマンの切り盛りが上手かったことで、勢い「粗さ」が目立ってしまいがちだった番組の軌道修正に必死に取り組み、手堅く収めていた。やはり彼らは只者ではない。伊集院もYOUも気の利いたコメントで番組を助けていた。

全体を通して眺めてみると、バラけてまとまりのない感じが強かった。「文化の違いを楽しむ・知る・驚く」という趣旨を三元中継という形で作り上げたかったのだろうが、それを感じさせるにはいささか弱い。クイズに出される品物も、精選されたとはあまり思えなかった。これなら先述のように文化の違いをVTRできちんと構成し、家の中でやることに構成の主軸を移したらどうだったのか。家財一切を外に出すことに拘りたいというのなら、もっともっとそれに沿った作りが必要だろう。これから1年以上、50周年の記念番組が量産されると思う。見ごたえのある番組を期待したい。(KING)