聖職のゆくえ~働き方改革元年~

  • 番組名:民放連盟賞準グランプリ“聖職のゆくえ”
  • 放送局:東海テレビ 制作:福井テレビ
  • 放送日時:2020・2・2㈰ 1357~1455

2019・8・5福井テレビで放送され、民放連盟賞準グランプリ(テレビ報道番組最優秀)となった番組“聖職のゆくえ~働き方改革元年~”がフジテレビ系列で全国再放送。フジテレビも東海テレビと同じ日時に放送。

「教員の特殊性により基本給の4%の調整額が設けられる代わりに時間外手当を支給しない」
これが今からほぼ50年前、1970年に制定された「給特法」というとんでもない法律で、今も続いていることに驚いた。業務内容が拡大し、この20年間で時間外が3倍にもなった教員の時間外は未だに支給されていない。
教師は「聖職者」であるという定義付けにより、この法律が顧みられることもなかった。

福井県内の教師の自殺をきっかけに取材を始めたディレクターは自身の母校足羽中学校の校長を説得、校内や教師を取材することに成功した。教師の過酷な労働実態がこのように明らかになったのは初めてではないかと思う。

日本テレビ「3年A組」で活躍した菅田将暉をナレーションに起用したセンスに加え、保守王国、学力体力ナンバー1と教育熱心なことで知られる福井県でこのような番組を作ったことも讃えたい。
見逃した方は、フジテレビや福井テレビのHPで番組の詳細や、ディレクターのコメントをご覧いただければ受賞の意味は十分理解できると思う。

この番組に先行して民放連盟賞グランプリ(テレビドラマ番組最優秀)の北海道テレビ放送「チャンネルはそのまま!」全5話も全国再放送となり、テレビ朝日やメ~テレでは今年1月5、12、19(日曜日の午前帯)に3日に渡って放送された。
私は二日目(第3話)から視聴したが、営業と報道の対立やキー局との関係など、なかなかうまく描かれていて、十分楽しめる娯楽作品となっていた。

総監督本広克行だが演出藤村忠寿ほかとあり、HTBスタッフが中心となって作り上げた熱意がしっかりと伺えた。
「水曜どうでしょう」でおなじみの名物ディレクター藤村氏は今も制作に関わっている。
この局が在名局よりはるかに不利な条件の中で、番組制作において個性ある番組を作っていることに敬意を表したい。

HTB開局50周年記念ドラマだった。中京テレビも同じく50周年記念番組がいくつかあったのにと思ってしまった。

NHK BSプレミアムで「ザ・ベストテレビ」と銘打って2008年から毎年9月か10月ころ、国内の番組コンクール受賞のドキュメンタリー番組を放送している。2日間で7時間半くらいの長時間であるが、各コンクールの優秀作品の紹介(ダイジェストのみ)と最優秀作品を全編放送してくれるので、毎年見逃せない。受賞作品は半分近くがNHK(総合、Eテレ、BS)だがかなりの割合で優れた制作会社(東京)が関与している。民放では圧倒的にローカル局制作番組であり、これにも刺激される。

キー&準キー局と地元局以外の優れた番組が全国放送される機会が増えることは良いことだ。民放連のHPで各地の再放送の日程が掲載されているので連盟の方針かと思う。今後はグランプリと準作品だけでなく、各部門の最優秀番組も全国再放送してもらいたいものだ。

澤田健邦