番組名 :「令和2年度文化庁芸術祭優秀賞
スナイパー時村正義の働き方改革」
放送局 : CBC
放送日時: 2021年2月20日(土)16:00~
スナイパーという特殊な業務にあたる者でさえ、今や人事部から残業ゼロを求められる!そんな設定の連続ドラマを最終話まで一気に視聴した。冒頭で田村厚労大臣(本物)がこのシリーズに対する推薦の弁を述べていたので、ただのシャレではないぞ、と肝に銘じたが、途中、上級の社会風刺コントのような演者のやりとりにすっかりハマり込んでいく自分を感じた。
にしても意外だったのは、最終話だ。スナイパーの野生的勘や愛娘に対する武骨な親心に人事部担当者が一定の、いやそれ以上の高評価を下すのだ。限られた業務時間内だからこそ冴える集中力、また、頭を切り替えてこそ確認できる家族への情愛…そうしたものが実は大事なのであり、人を豊かにするのだというメッセージが込められている。なるほど、これなら文化庁芸術祭賞受賞も頷ける。
さて、時代はコロナ禍。今後の働き方については皆、他人事ではない。AIやリモートのテクノロジーがもたらす業務の効率化には功罪が生じる。論理的で正確な仕事運びは企業活動を助け、資本主義を成熟させる一方、ニュアンスやセンスといったアナログ情報が伝わりにくいために重要な何かを見過ごす危険が増す。
当たり前だが、創作には人肌の感性が不可欠だ。そして、予測不能な歓びに遭遇した時、人はこの上ない幸せを感じてしまう。自分も幸せ指数の最も上がる働き方を是非とも見つけたいものだ。
中島精隆