- 番組名:「ロストグルメ3」「銅像スター調査隊5」「この生き方天才かも?3」
- 放送局:CBCテレビ、東海テレビ
- 放送日時:2021年10月9日(土)午後2時~3時24分(CBC)他
この9月から10月頭にかけて、いわゆるヒット特番の続編が何本か放送され、いわゆる「教養娯楽番組好き」な筆者は、それぞれ面白く観たので感想を書き留めておきたい。昔から云われることだが、テレビ番組については「ヤナギの下に何匹もどじょうがいる」そうで、表題に掲げた以外の人気シリーズも名古屋局には多い。局としては一回当てれば、営業やネット局への説明も簡単だし、キャスティングもやり易い。数字もある程度読むことが出来る。いいことずくめだ。一方、制作側はマンネリにならないように工夫し、かつ期待された数字も取らなくてはならないので、プレッシャーは相当なものだろう。
人気シリーズになる番組はやはり企画の目の付け所が上手い。が、その新鮮さをキープするには相当のリサーチが必要になるし、ボツネタも多くなるだろう。CBCテレビ「絶滅料理よ いざ復活!ロストグルメ3」(全国ネット)は、「江戸時代&昭和初期の料理」「マドンナが愛した一皿」「料理マンガに出てくる仰天料理レシピ」を並べた。それぞれよく調べてコーナーの演出も上手くこなしていた。ただ、「料理マンガ~」は中京テレビ「マンガ飯」と被った企画となってしまった(面白かったけど)。この番組の面白さはVTRもさることながら、スタジオMCらの感想だ。すっかり名古屋印になった感のある加藤浩次とジャニーズ河合郁人、それに小島瑠璃子が並んだ。それぞれウィットに富んだ感想には定評がある3人が、それぞれロストグルメを味わい、その感想を言うのが面白い。納豆嫌いの加藤の感想には(作った人を傷つけないように気を付けつつ)ウソがないな、と感じた。筆者が一番面白いと感じたのは「料理マンガ由来の”空洞おにぎり”」。実際の仕上がりもなかなかで、スタジオのオチも良かった。
この番組はHPで、作ると危険な(苦笑)空洞おにぎり以外のレシピが公開されていて、作ろうと思えば視聴者も作れる仕掛けになっているところも良い。4弾もあると見た。
東海テレビが10月2日の深夜に放送した「この生き方、天才かも?」は第3弾になる。全国ネット番組だ。MCは山里亮太。スタジオにはペコパの二人と番宣絡みの貫地谷しほり。この回の人生を激変させてしまった二組は「東京と大分で仕事も生活もする女性(既婚)」デュエラーというのだそうだ。もう一組は「若くして東京ドーム9個分の山を買ってしまった夫婦」。いわば人の生活を覗き見る人間の原初的欲求を満たす、昔で言えば「お宅拝見」や「夕食拝見」とルーツは同じタイプの番組と言える。今日的なのは、新しい生き方の提示があるという点だ。そこが面白い。型にはまらない自由な人生を謳歌している人を見るのは羨ましい。そしてこうした若い人がそこのままのライフスタイルを貫けるのだろうか、そんな老婆心も頭をもたげる。そんな感想を持つ事自体、この番組に取り込まれているんだろうな。深夜放送だが、私のようなおじさんが結構観ているんではないか。これも次作がありそうだ。
さて、私がこの3つの中で一番好きなのが「日本全国!こんなところにスゴイ人 銅像スター調査隊」(9月25日土曜午後4時)だ。ローカル放送を含めもう5作目になる。今回も全国ネット。司会は加藤浩次。スタジオにパンサー向井とシソンヌ長谷川。今作のハイライトは番組の半分ほども尺を稼げた「美浜町の音吉」の銅像にまつわるお話。大の歴史好きの筆者には堪らない話だった。漁師として遭難・漂流し、苦労の末、江戸時代に日本人として初めてロンドンに上陸し、幕末のモリソン号事件や日英通商条約にも深く関わった人物である。世界を目の当たりにした人物だが、シンガポールで亡くなったため、日本ではあまり知られていない。美浜町では英雄である。そんな音吉の半生に迫ったドキュメントといってもいいVTRは見応え充分だった(少なくとも筆者には)。知的好奇心を大いに刺激された。銅像は背景に歴史がついてまわるというメリットがある。そこがこの番組の狙いの勝利だ。これも第6弾を期待したい。銅像は日本全国にまだまだたくさんある。
名古屋各局がこうした「知的(教養)エンターティンメント」について強みを持ち続ける事は大事なことだと思う。この手の番組なら名古屋局に作らせれば手堅いよね、という評判を獲得してもらいたいものだ。
おまけとして中京テレビ「復活!令和もお笑いマンガ道場」のことも書いておこう。27年ぶりの登場となった。筆者は司会の柏村武昭のふけ具合が印象的だった。回答者には今の人気者もキャスティングしていたが、基本は懐古番組であった。何か令和らしい新しさが加わると良かったのではないだろうか。(KING)