清々しいな。CBC「初めての白川郷ふたり旅」

番組名 :「CBCテレビ開局65周年記念 天海祐希と友近が行く!初めて
の白川郷ふたり旅」
放送局 :CBCテレビ
放送日時 :12月15日(水)19:00~

65周年の冠付きなので重厚なタッチで繰り広げられるのかと思いきや、さにあらず。軽妙な演出が何だか心地良かった。旅番組というよりバラエティー調で展開するリポートもの。白川郷が世界遺産に選ばれた理由が、村民にスポットを当てながら解き明かされていく。すべてはそこに暮らす人々の「結(助け合い)」の精神に起因するという。

冒頭では江戸時代から伝わる合掌造りの工夫について紹介された。釘を使わない為、免震効果が生じる他、階上の養蚕に適した障子窓、床下に蓄えた煙硝土(火薬の原料)など…。特に惹かれるのは囲炉裏の上に吊った「火天(ひあま)」という正方形の板。これは、煙を屋内に隈なく散らす為だそうで、煙には防腐・防虫効果があり、建物を長持ちさせるそうな。

そんな合掌造りを守る為、村では「売らない」「貸さない」「壊さない」を原則とするも管理人を無料で住まわせることがあるとか。番組で紹介された外来の管理人は、とにかくここに愛着を持っており、祭りで奉納する笠踊りにも積極的に参加。また、米作りに情熱を燃やすリターン組の若夫婦は、村民と共に農村景観を守ろうとする努力が奏功し「世界最高米」の受賞にもつながった。

いずれにしても「結(助け合い)」があってこその白川郷。派手さはないけれど、人が生きていくのに必要なこうした習慣が大きな成果(世界遺産登録)をもたらした良い例だと思う。難しいことには一切触れず、この土地の長所だけを切り取った番組だったが、力が抜けていてそれも悪くないなと感じた。お遊びとして村民による寸劇を随所に盛り込み、取材進行のきっかけにしたのも案外楽しめた。

PS.地元の湧き水で育った飛騨牛の「すったて鍋」は、ぜひ一度味わってみたいなぁ。

中島精隆