「家族の写真」(ドラマ・東海テレビ)

  • 番組名:「家族の写真」
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2022年(令和4年)1月2日午後2時~午後3時30分

東海テレビは4年前の創立60周年のキャッチコピーを「ふるさとイチバン!」とした。このコンセプトに乗ったドラマを「エリアドラマ」と謳い、ローカルに題材を求め正月に放送を始めた。本作で4作目となる。昨年末にお亡くなりなった内田優会長の置き土産ともいうべき番組であろう。

大須、伊勢、飛騨古川と東海3県を回って終わりかな、続けてほしいな、と願っていたところ、今年もちゃんと製作してくれた。今回の舞台は「豊橋」。このシリーズのコンセプトは「家族」(特に父と娘の場合が多い)、「仲間の友情」「地域の絆」(ふるさと再発見)というところであろう。本ドラマ「家族の写真」もその名の通り、豊橋で写真館を営む父(升毅)と、東京へ出ていって駆け出しの写真家となった娘(剛力彩芽)の話が縦軸となり、娘の豊橋時代の友人との仕掛け作りが横軸にして構成されていた。

これまでの4作ともに、「家業」と親子、その家業と地域のまちおこしとの繋がりをアレンジした構成となっている。エリアを意識したドラマらしく、今回も豊橋市の名所や風景がふんだんに取り入れられ(オールロケ)、新しい世代が古い世代の価値観を引き継ぎ、それを自分たちのものとしてバージョンアップしていく過程がコメディタッチも加味されて綴られていく。演者の中では升毅がドラマの重石としての役割をキチンと演じられていて流石。鈴鹿出身の加藤紀子以外はエリアに関係ないキャストだったが、「じゃんだらりん」の三河弁も上手くこなしていたのではないか。

90分ドラマなので山場やエピソードの散りばめ方が難しいのだが、私が観たシリーズ4作中で本作が一番前半部分のタルさ感じた。特に昔(いつだったの?)祭りの後に写真を埋めたのを掘り起こして、そこから出てきた写真(むき出しのポラロイド写真が土の中の缶の中で水気も吸わず長い年月無傷だったというのも、現実離れしていて残念)のエピソードをいじるあたり。ドライブが掛かるのは、娘・美晴(剛力)が、父の心を理解し、自分の進む方向を見出し、市民の笑顔の写真を集め始める辺りから。ハイライトは市役所の壁に張り出された市民の笑顔の写真をドットにして構成された大型の「ええじゃないか」とデザインされた作品の完成だ(ほとんど終わりかけだけど)。また、マスクをしてのドラマは仕方がないとしても、どういう状況でマスクが必要とされているのかよく分からなかった。というのも、マスクをしていると、どうしてもセリフが聞こえづらく、演者の声質によっては、モゴモゴしていて何を言っているのか分からなかった。(字幕付与だったのでそれでカバーしたが)

コロナ禍で出来ないでいる「ええじゃないか」祭や「手筒花火」などなど名所や名物(名産品)も紹介しなくてはならず(美晴の友人一家が経営している胡蝶蘭ハウスは壮観で見応えがあった)構成としては苦労するだろうな、とは思う。またこのシリーズは、性格上制約が多く、構成が年々難しくなっていくだろう。しかしそれに負けずに製作を続けて欲しい。豊橋の事といっても近隣以外の東海3県下の視聴者は意外と知らないことが多く、気付きも多いだろう。またふるさとの良さを再確認することも番組にとって大事な使命だろう。演者がこの地出身や縁のある人をずっと集め続けるのも難しいので仕方がないとしても、最低、今回のように(脚本は3作連続だが)地元に引っかかりのある脚本家と監督を使い続けて欲しいと願う。来年はマスクなしでのドラマが製作できるよう祈りたい。順番としては三重県のどこか、だろうか?(KING)