「ネバー・ギブアップ!~竹島水族館ものがたり~」(東海テレビ)

  • 番組名:「東海テレビ開局65周年記念 ネバー・ギブアップ~竹島水族館ものがたり~」
  • 放送局:東海テレビ (ローカル)
  • 放送日時:2023年1月3日月曜日午後1時10分~午後2時30分

東海テレビが開局60周年を記念して始めたローカル密着ドラマも5年目を迎えた。コロナ禍に入ってからはコロナを逆手に取って「何クソ精神」で制作した。毎回ここで感想を書かせてもらって応援してきた。筆者にとって正月3日の恒例行事となった。大須から始まり三重、岐阜、三河と方言を駆使しニュース映像アーカイブを使用するなど、独特の(少々クサいが=ごめんなさい)タッチでこのエリアの家族や仲間というキーワードで、ほんわかしたタッチを持ったドラマだった。だったというのは5作目で方向性を少し変えたからだ。これが凶と出たか吉と出たか。半分ドキュメンタリー半分再現おもしろ脚色ドラマといったテイスト。

今回は筆者には「案外」だった。これまでの4作と違うテイストを求めてチャレンジした姿勢は買うが、それが成功していたとは思えない。ドラマを入れることがマストであるなら、ドキュメンタリーの割合を増やし、ドラマを再現ドラマとして徹してしまえば良かったと思う。せっかくいいネタを掴んでおきながら勿体ないなあ、と感じたのだ。冒頭にすこし面白おかしく脚色してある旨字幕がドンと出るが、断るまでもなかろう。全体におちゃらけたドラマが真摯に水族館の再建に挑戦した実在のメンバーの実写部分と融合しているとは思えなかったのだ。

全国でも三河湾でしかやっていない深海底引き網で上がってくる面白い魚介類が登場して、これが起死回生の一つにもなるというネタなんかも勿体ないなあ、もっとシリアスに扱ったほうが現場の苦労がリアルに出たのではないかと思うのだ。

また渡辺いっけいが演じた中村先生という水族館プロデューサー。主人公小林青年の前に幻のように現れ小林青年に謎掛けのようなアドバイスをして消えていくのだが、この人は実在なのか?ドラマの出来事なのか?彼の存在も全体の中途半端さを加速する存在になってしまったのではないか。

筆者が年を取って旧習(これまで4作のドラマスタイル)にしがみついているのだろうか?若い人には受けたのだろうか?視聴率の属性はどうだったのだろう。これまでのスタイルにしがみつく必要はないと思うし、さまざまなチャレンジを繰り返してこのエリアの人間ドラマを描き続けて欲しい。それを編成し、ローカル営業が頑張るのはローカルテレビ局にとっては有りうべき方法かと応援はしたい。

ただ今年の作品は筆者には残念だった。唯一エンドロールで俳優と実在人物の交流風景は良いアイデア。さて来年はどのエリアをどういう切り口でドラマ化してくれるのだろうか。楽しみにして待とう。(KING)