銅像スター調査隊!

  • 番組名:日本全国!こんなところにすごい人 銅像スター調査隊!
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2023年3月5日13時25分~(1時間)

街で見かける銅像をきっかけに「一体この人は何をした人なんだろう」という謎を解き、その人の偉業やエピソードを解明していくアカデミックバラエティとHPにある。

2018年初回放送から今回で8回目の単発番組。2019年6月からは全国ネット番組となり現在も年一回くらいのペースで組まれているので視聴率や番組の評判は良いのだろう。

しかし、銅像は概ね今の人たちには忘れ去られており地味な存在。そして、過去取り上げてきた銅像も一様に地味めだったが、今回の銅像もかなり地味。番組担当者は地味な銅像を喜んでいるようである。一方、スタジオはMCに加藤浩次。アシスタントに浦口アナウンサーがいてパネラーとしてナイツの二人が。こちらの陣容はかなりしゃべれる。以前の回も小峠やカンニング竹山などやはりコメントがきくメンバー。地味なネタに達者なしゃべりのスタジオ陣という構図は変わらない。

今回の一つ目の銅像は名古屋市を流れる堀川沿いのスペースにある福島正則。秀吉や家康の戦国時代の武将だがそこまでの有名武将ではない。だからその人となりを探っていくのだが、堀川を開削し名古屋経済の発展には欠かせない人物と紹介。出身地のあま市には正則橋や正則小学校があり、校歌にも正則が出てくる。しかし、それほどのエピソードはなく、オチは堀川の銅像は銅像ではなく、ベンチだと言う。河川法の規定で銅像風ベンチなのだ。

そして銅像ニュースを挟み2つ目の銅像。岡崎東公園にあった本多光太郎の銅像。鋼鉄の父と呼ばれる金属材料の研究者。世界最強の磁石と言われたKS鋼を発明し東北大学の総長にもなり、ノーベル賞の候補にもなったすごい学者。そして実験好きで結婚式にも遅れるというエピソードが紹介される。しかし、こちらもネタとしては地味。

つまり地味なネタであってもこの番組は身じろぎしない。丁寧にリサーチをしてオーソドックスに紹介していく。民放の番組としては珍しいと思う。バラエティというなら銅像ニュースに出てきた「サックスを吹く裸のおじさん」の方が面白く扱えると思ってしまう。しかしこの番組ポリシーは福島正則であり、本多光太郎なのだ。アカデミックバラエティという概念がそこにはある。

また、全国ネット番組のわりに二つともこのエリアの銅像。以前の放送でもこのエリアのものが多い。全国ネットだから全国各地をバランスよく並べるということはしていない。僕が制作していた時はそういうバランスはどこかで考えていた気がする。

地味で良いと考えている事と全国ネットでもこの地方中心で良いという2点が大きな特徴だと思った。そこをしゃべりの達者なスターたちで見ていくといったやり方を貫いていることはある意味画期的だ。しかし、そこそこ視聴率を取らないと単発番組はなかなか続かない。だから今までも今回も視聴率も取っているのだろう。大きな特徴のある番組だからさらに地味でバランスよりネタ中心を極めていってほしい。

柴垣邦夫