街づくりは楽し。THK「おぎやはぎテラス」

放送日時:2024.7.7(日)正午~<60分>
放送局:東海テレビ
番組名:「おぎやはぎテラス きょう、12時にどこ?」

地元と一緒に作る日本一の地元密着番組というふれ込みで始まった生放送の新番組を視聴した。スタジオを使わず、中継とVTRで構成。出演はMCのおぎやはぎと女性アナ2名に加え、ゲストタレント1名と週替わりの地元コメンテーター1名。また、タイトルの「~テラス」は、東海地方を楽しく「照らす」にかけたとのこと。

初回のテーマは「円頓寺商店街」。ここは周知の通り、趣のある蔵が立ち並ぶ四間道にほど近く、昭和初期には活況を呈したものの2000年頃から客足が遠のき、いわゆるシャッター街と化していた。しかし、数年前から新たにユニークな店が増え、今では息を吹き返している。今回のミッションは、この街が復活を遂げた要因を探ることだ。

オープニングでおぎやはぎの両人が観光用人力車で移動する際、車夫が街の歴史に触れていた。私が友人と先週訪れたレトロモダンな珈琲店にも実は90年の歴史があると知り、嬉しくなる。

商店街リニューアルの立役者は、ナゴノダナバンクという会社。主たる業務は、空き家のリノベーション及び貸手、借手のマッチング。女性社長の藤田さんはこの街に生まれ育ったため、地元愛が原動力になっている。「名古屋駅から15分歩かなければならない場所だけに、こだわりを持つ尖った店でなければ成功しない」とも。また、出店者の人柄と街との相性を重視し、ネット上ではなく、紹介者を通じたマッチングを行っているそうだ。確かに彼女が手掛けた案件は、店舗も店主も見事にこの街に溶け込み、輝いて見える。

そしてもうひとつ、復活の下支えとなったのは、この街に対する外国人観光客からの高評価だ。目当ての名古屋城まで名古屋駅から歩けば30分かかるが、途中、この商店街に立ち寄り、風情を楽しむ観光客が多いらしい。さらに、この商店街には宿泊と食事を外国人に無料提供するゲストハウス「なごのや」がある。無料提供のかわりにハウスの仕事を手伝ってもらうシステムだ (これをワークアウェイと言う)。このハウスに1カ月滞在したフランス人ピエールさんは、将来ここに住みたいと語るほどこの街が気に入った様子。また、別の外国人は、金比羅神社や五條橋から見える堀川の写真を撮りながらこう言った。「最高の場所を見つけるのに(わざわざ)人が多い場所に行く必要はないんだ。」

元々そこにある魅力を再確認し、それを今のセンスで発信していくことが再生の基本なのだなと、この番組を視て改めて思った。初回を視る限り、サブカルチャーに対する共感力を持つおぎやはぎの起用は成功だ。毎回充分なネタを揃えて1時間を構成するのは大変だろうが、スタッフの健闘を祈りたい。来週のテーマ「栄」も楽しみだ。

中島精隆