地元ドラマは結集力。TVA「忘れっぽいハムレット」

放送日時:2024.11.9(土)16:00~17:15
放送局:テレビ愛知(テレ東系全国ネット)
番組名:「忘れっぽいハムレット」

このドラマは、地元を舞台に地元の物語を作ろうという意欲に満ちた方々によって企画されたそうだ。脚本は佃典彦、俳優陣はドラマ初主演・糸瀬七葉、ベテラン・鈴木林蔵、伊沢勉、憲俊ら愛知の役者に加えて内藤剛志、風間俊介と豪華な顔ぶれ。そして、市民エキストラはなんと700人超。中身は認知症をテーマとし、互いに支え合うことの大切さを訴える優しい物語だった。

私はキー局のドラマをひと通り視るが、以前から佃典彦や憲俊の芝居が好きなこともあり、こうした地元制作のドラマを見つけると嬉しくなる。どんな方々が集まって力を合わせているのだろうかとエンドロールを凝視してしまうのだ。プロデューサー、制作プロダクション、監督などを確認した後、ドローン担当や営業担当の名前まで出ていることをチェックし、昨今の制作事情を推察する。また、多く(今回は大府市をはじめ17)の団体が撮影に協力していることを知り、感動したりもする。ともあれ、ドラマ制作界隈には陰のサポーターがたくさんいるのだ。

ご承知のように私たちの地元には、芝居や音楽に関わる人が大勢存在する。彼らの動きを止めないことが、イベントや番組を作る人たちに求められている。ひとつのメッセージを表す時に複数の人間が意見を交し合い、工夫を重ねることは、その場所でより良い組織や社会を形成していく作業とよく似ている。だからこそ、こうした機会を定期的に創出することがローカル局の使命なのだと思う。

中島精隆