静岡放送『冠ザコシの冠冠大冠』

  • 番組名:冠ザコシの冠冠大冠
  • 放送局:静岡放送
  • 放送日時:2025/4/26㈯ 深夜

今春の新番組もあらかたスタートしたが、これはというドラマが少ないように思われる。ちょっと心配だ。
話題を探していたらヤフーニュースで静岡放送の面白そうな新番組を見つけた。
その名も「冠ザコシの冠冠大冠」
ハリウッドザコシショウが地元で大暴れ!
誇張しすぎたモノマネという独創的なネタで、2016R-1グランプリを制したピン芸人が四月から月1回のレギュラー番組。
「地元で冠番組を持てたらコレをやりたい!」と考えていたことを詰込み、自ら企画・構成を務めるという力の入れようだ。

この呼び込みに釣られて早速視聴。このエリアでは見られないし、放送日は過ぎていたが、Tverで配信中だった。
初回ゲストはザコシショウと大阪NSC同期の実力派芸人中川家。昔からの仲良しで芸達者な2人とあって、全く飽きさせない30分。

スタジオにセットは無く、タイトルを映写したホリゾントのみ。椅子席と小さなテーブルと3人の出演者のみ。
ザコシシショウは例によってピチピチパンツ一丁だし、中川家の2人も多分プライベートの服装っぽい。
若い時期にハマったジャッキ-・チェンの「プロジェクトA」の話題から始まり、続いて何組かの吉本の先輩芸人のギャグモノマネ。
ひとしきり、思い出話が終わると、用意した箱の中から取り出した紙にあるテーマごとにアドリブでのやり取りが始まる。

「プロジェクトA」のテーマ音楽や登場人物の決め台詞を巡って、同期仲間の掛け合いが楽しい。
映画を見たことのない視聴者にストレスを与えないように、キャラクターのイラストや台詞を文字スーパーで丁寧にフォロー。
富士山の遠景(静止画)とザコシショウのアニメキャラクターをキューショットのように使って、リズムの変化と静岡のアピール。
音楽や箱から出すネタのチョイスなども含めて、なかなか演出の事前準備が行き届いている。
静岡放送はこういうバラエティの実績があるのかと驚いたが、からくりがあった。
スタッフクレジットを見たら構成にザコシショウと喜多春仁という名前があり、喜多氏は演出も。こんなディレクターがいるのか。
ネットで調べたらフリーの構成演出家だった。
番組プロデューサーの話からも伺えるが、どうやらザコシシヨウと彼がこの番組スタッフを引っ張っているようだ。

プロデューサーが「『静岡のテレビって面白いじゃん』と思われ、全国にも番組のファンが増えて欲しい」と語っている。
若き日の私もそうだった。その心意気を買ってここで取り上げさせてもらった。
静岡は関東に隣接し、娯楽番組を制作するには意外にハードルが高いと随分昔だが系列のスタッフから聞いたことがある。
月一で頑張って続けてもらい、この番組で若いスタッフが育って欲しい。隣県から応援したい。

澤田