放送日時:2025.8.9(土)19:00~20:54
放送局:テレビ愛知ほか
番組名:「生中継 ぎふ長良川花火大会2025」
真夏の夜を彩る長良川河畔の花火大会をテレビ愛知、岐阜放送、BS11が共同制作で生中継していた。このところ、戦後80年を旗印にしたドキュメンタリーをたくさん見過ぎ、やや重い気持ちになっていたため、当番組でひとときの解放感が得られたのは嬉しかった。食事中の「ながら視聴」ではあったが、花火そのものの演出の面白さにいつのまにか引き込まれていく。謳い文句「音と光の融合」に偽りはなく、楽曲に合わせた打ち上げリズム、大輪の色・形がよく計算されているのだ(100分の1秒単位でセットしてあるらしい)。
ハイテクを進化させた花火師たちは、今や巨大な絵筆をこれほど自在に操ることができるのか。聞けば、戦後初めての花火大会は岐阜だったとのこと(1946年8月)。当時の人々は一体どんな気持ちで空を見上げたのだろう。
ショーは全7章から成り、それぞれがテーマを持つ。たとえば、第3章は岐阜の大自然を賛美するコンセプト。滝のような花火とクラシック音楽がマッチしており、スケール感がある。第6章は大切な家族の笑顔をモチーフにしたもので、細やかな点滅花火とユーミンの楽曲が温かい風を運んでくれる。特に創造的だったのは第5章「全ての人に優しく」(Heal the World/マイケル・ジャクソン)と第7章「グランド・フィナーレ」(明日へ/MISIA)だ。間奏やエンディングの細部に至るまで、多彩な光の線と粒がうまく配置されていることに驚いた。
さて、放送席のMCは、ぎふチャンとテレビ愛知の女性アナ1名ずつ。ゲストは黒谷友香(女優・モデル)と寺坂頼我(俳優・歌手)。花火の技術については、事前制作のVTRを挿入してあったので割と自由にトークを展開すればよいのだが、これが意外と難しい。MCは段取りを頑なに守っていたし、岐阜が地元の寺坂は優等生的イメージにこだわったせいかユニークなコメントが出なかった。唯一、岐阜とゆかりのない黒谷だけがオープンマインドで臨んでおり「心のシャッターを切りまくった」「余韻と共に幸せを考えた」「1冊の本を読み終えたような感覚」など、冴えたコメントがこぼれていた。花火の歴史や文化を語れる専門家にも同席してもらい、面白逸話などを加えてもらえば、より幅のあるトークになったかもしれない。
当大会の生中継は昨年かららしいが、できれば今後も続けてほしい。こうしたイベントは地方の宝と言えるし、テレビのソフトとしても充分な価値を感じる。お年寄りや病人など、事情で現場に行けなかった人々を救うためにも益々、放送技術に磨きをかけて頂ければと願う。
中島精隆