- タイトル:人間研究所~かわいいホモサピ大集合!!
- 放送局:中京テレビ・日本テレビ系ネット
- 放送日時:2025/09/03㈬&09/17㈬ 2359〜
今年4/2からスタートした深夜枠の中京テレビ制作のネット番組。プラチナイトと銘打った枠で後に続くドラマとセットになっている。
前企画『こどもディレクター』に注目していたが、残念ながら終了し、全く方向性の異なるバラエティ番組に替わった。
私は地元名古屋での制作を応援するという考えから、東京制作番組について意見を述べることは避けてきたのだが、
今回は思うことがあり、愛するバラエティ制作についての感想を述べたい。
MCが所長のニホンザルのリュウ(ロバート秋山)、研究員ブルドッグのヒカル(伊集光院)、毎回変わるもう一匹、一羽だったりの動物(お笑い芸人)たちが
人間(ホモサピ)を研究しているという設定。
毎回、ゲストにはタレント、芸人などのホモサピが登場するが、研究対象なので檻らしきものの中に閉じ込められている。
それぞれのキャラクターやネタ作りについて、動物たちのツッコミにさらされる。VTR素材がある時はホモサピの行動についての解説、言い訳役でもある。
研究材料として、変わった設定での多数の一般人(ホモサピ)の奇妙な行動、習性を捉えた実験的なVTR映像が提示されることがある。
とても合理的とは言えない人間の行動に動物たちが言いたい放題、突っ込むという展開。
面白いコンセプトで、中京らしい?尖がったバラエティ企画として、私的には楽しんでいるが、半年近く過ぎて毎回の出来不出来の差が大きいように思う。
9/03放送。檻の中のゲストはレギュラー陣との相性がいいのか、たびたび登場する村重杏南。
今回の企画は業界人に番組のアドバイスをしてんもらおうという本音丸出し企画。
特別ゲストに元テレ東京の佐久間亘行氏。現在、さまざまなメディアで活躍する作り手出身業界人だ。
佐久間氏は檻には入れない特別待遇。彼の作った「ゴッドタン」や「あちこちオードリー」を毎週視聴している私としても興味深々だった。
彼の番組スタート時の発想や芸人に対する考え、テレビ東京の当時の力から、他ではやらない企画を考えたことなど、戦略的な番組作りを語った。
更に、今の番組作りに視聴率、配信数以外にネットでのサムネイルになるものが大事。と、やはり現役の制作マンらしい意見を述べていた。
この番組に対する意見を問われて、「コンセプトは面白い。これを活かすならゲストは、こういう人物を呼んではどうか」と具体的なアイデアを披露した。
さて、翌週9/10は「SAVE MONEY」という中京テレビ制作の別番組が編成された。
過去にローカルで放送された番組の再放送(手直しあったのかも)だったが今回はこの枠で全国ネット。
クイズ形式のバラエティで回答者には最初に100万円が渡され、数字にまつわる問題に対する回答との誤差が罰金として没収される。
一旦、渡されると自分のものという気持ちになり、回答次第で自分の所有金が減るという心理がクイズの当否の面白さを拡大させる。
この企画は前述の「こどもディレクター」を企画演出したディレクターが演出していて、かなり完成度の高いクイズバラエティだと思う。
その翌週9/17は「人間研究所」に戻ったが、続くドラマ枠がバラエティ企画「フットンダ」に変更。この編成で2週連続のようだ。
「フットンダ」は芸人による大喜利番組でMCはトシとタカのコンビ。最初は深夜企画で5年間レギュラーだったが終了して、その後、毎年恒例の年末年越し特番となった。
面白い回答に対して布団が飛ぶという設定。フットブ時は誰の判断なのか不明、かつ基準もやや不明瞭だったが、数回の改訂を経て、分かりやすくフットブ判定となった。
今回は出演者が深夜枠のレギュラー時代のような車座配置となり、人数も少ないので、出演者同士の空気感が快い。
過去の番組での経験値を活かして、良く出来たバラエティ番組になっていた
さて、9/17の「人間研究所」だが、VTRでの実験企画が“サッカーのキーパーはバレずにどこまでスキマバイトができるのか”というバカバカしい企画。
スタジオの檻中ホモサピゲストに武田修宏と村重杏奈。ロケ中にもう一人、元サッカーキーパーの本並健治も登場する。
番組の指示に従ってスキマ時間にやるあれこれの挑戦ゲームのようなものと本来のサッカーの試合の結果。
ふざけた、ちょっと古いパターンのように感じられたが、まあ、ちょっと笑える。
バラエティ番組をさらに面白くしていこうという時、設定の許す限り、とにかく受ける企画を、あれこれ、手を変え品を変え、という展開がよく見られる。
東京の制作スタッフは日常的に鍛えられているので、色んな引き出しを持っていると感心させられる。
今回の「人間研究所」の二回分の企画は共にそれなりの面白さはあった。
しかし、本来のコンセプトである「人間の面白さを笑う」からは遠くなっているように感じられた。
中京テレビのこの放送枠は3週に渡り、毎回変わったので、視聴する側としては面食らった。
結果として、中京テレビ制作の3本のバラエティ番組を視聴することになり、バラエティ企画を練り上げるプロセスを考えさせられた。
「人間研究所」はどこに向かうのか。制作者が伝えたいことは何なのか、今後を見守りたい。
澤田