カメラ前で誓う。「CBC ハートフルワールド~岐阜・笠松刑務所編~」

番組名:ハートフルワールド~岐阜・笠松刑務所編~
放送日時:2026.3.8(日)0:58
放送局:CBCテレビ

この番組は、いわゆる薄暗い所にいる者の心に照準を合わせるのが得意だ。成功者の話を聞く番組とは異質で、視聴者に対し「この現実をあなたならどう捉える?」と容赦なく問題提起してくる。

減点法が基本になっているような日本の現代社会で、何度もしくじった者が再生を果たすことは可能か?今回も難問を突き付けるような企画だったが「きっと可能だ」と信じたくなる一幕が終盤にあった。

カメラが待ち受けるのは、なんと笠松刑務所の前。入所者との面会に訪れる人や出所直後の本人にインタビューを試みる企画。2ヶ月通ったそうで、紹介されたのは6組(以下は抜粋)。

窃盗と覚せい剤で服役中の妻に会いにきた男性(64歳)は自身も今日、刑務所を出たばかりだ(傷害罪1年)。男性の服役は10回め(主に覚せい剤で計20年)。妻の体を気遣いながら「待ってるから…」とつぶやいた。

また、出所直後にインタビューした女性(47歳)は、結婚詐欺グループに加担し、2年間服役したとか。聞けばこれまでに器物破損、窃盗、詐欺、傷害で8回(計14年)の入所歴あり。元受刑者というレッテルから職場で差別を受け、思わず暴力を振るい再入所という経験も。今の気持ちを尋ねると「後ろめたく、社会に出るのが怖い」という。これに対しスタジオのヒコロヒーは、言葉を選びながら「より良い人たちと出会えるような自身になっていただきたい」とコメント。

さて、番組の終盤。もうすぐ仮釈放になる妻に会いにきたという男性(70歳)は、自身も11回の入所歴(粗暴犯)があるが、ここ10数年はまじめにダンプの運転手を務めている。肝臓がんの手術を受け、命拾いしたのを機に変わったのだとか。きちんと働いて暮らす喜びを妻にも知ってほしいと語る。妻は昔からの知り合いだが、結婚したのは最近でいわゆる「獄中結婚」。妻の前夫との子供が養護施設にいるが、その子にも普通の暮らしをさせたいという。番組は仮釈放当日、妻を待ち受けインタビュー。父がヤクザの組長だったこともあり元々素行が悪く、これまでに服役は6回(計20年)。しかし、今回ばかりは面会や手紙で親身に支えてくれた夫に感謝し、気持ちが変わったとか。悪い仲間と縁を切り、必ず更生すると誓った。

取材カメラは、最後に彼女の決心を映像に残したことで、夫妻の前向きな未来を後押しすることができたと思う。エンディングでヒコロヒーが「この番組は、どういう状況にあっても本人次第でどうにでもなると強く思わせてくれる」と結んだ。万人に通じるメッセージだ。

中島精隆