在名各局’26年1月~3月の単発番組を観て(バラエティ編)

  • 番組名:在名各局’26年1月~3月の単発番組を観て(バラエティ編)
  • 放送局:在名民放(正月特番を除く)
  • 放送日時:2026年1月~3月

本年1月から3月まで例年に比べ各局単発制作が多かったような気がした。NHK(AK)を含め力作、力の入った編成が見られたので全部ではないが、興味の向くまま録画視聴したのでその感想を記しておこうと思う。今回はバラエティ編とし、次稿にドキュメンタリー・教養編を書いてみる。

以下に観た番組である。①「太田石井の多すぎニッポン」(CBC・1月24日・午後2時・90分・フルネット)②「世にもニッチな研究室」(CBC・2月4日・午後9時・60分・ローカル)③「買い主が見てみたい」(メ~テレ・2月15日・75分)・フルネット)④「踏み込め!歴博~カズレーザーと楽しむ◯◯年前」(CBC・2月21、28日・30分・ローカル)⑤「1年先へ行ってみた タイムスリップバラエティ」(CBC・3月1日・60分・60分・ローカル)⑥「ドデスカ!THE WORLD こんなトコロに名古屋めし!?」(メ~テレ・3月4日・午後7時・ローカル)⑦「オカムラ麺ズ倶楽部」(メ~テレ・3/7・午後2時30分・60分・ローカル)⑧「パパベガス」(中京・3月19日・午前0時09分・60分・ネット)⑨「羽田美智子 笑顔芽吹く旅~春、石川・能登へ~」(東海・午後4時55分・30分・ローカル)⑩「サンドウィッチマンの世界ほぼゼロ生き物ハンター(CBC・3月23日・午後9時54分・64分・ネット)⑪「パレード界隈・3月28日・午前0時58分・36分・ローカル)⑫「DINNER WITH SIGGY~世界的シェフが食卓へ~・」(CBC・3月28日・午前2時31分・45分・ローカル)⑬「秋山音楽祭2026」(メ~テレ・3月27日・午後11時15分・60分・ブロックネット)⑭「くらべるネタSHOW バカリズムのキリクチ」(東海・3月28日・午後11時40分・55分・ローカル)⑮「たった3行レシピせいや猪俣3行キッチン」(中京・4月3日・30分・3週連続で最後のみネット)

以上15本。こうしてまとめて眺めてみると、地上波準キー局がコンテンツに対してどのようなスタンスでいるのかが透けて見えてくる。YouTubeなどのネット展開を優先しているもの、世界での番販を狙うもの、そしてあくまで地上波としての中身にこだわるものなど。上記前者2つのコンテンツに関してはもはや放送時間は関係ない。

内容について言えば、どうやったらコンテンツに触れる人たちの知識欲をくすぐることが出来るかに腐心していることがよく判り、苦労しながら制作している姿が目に浮かぶようだった。この3か月は挙げた以外にも各局多くの単発を作っていて、経営陣のトライアンドエラーに取り組む苦心も想像出来る。今年はバラエティ・ドラマよりもドキュメントに見るべきものがあったように思う。これは次の投稿で書きたい。

さて、そうした知的エンタメ方向に精を出した番組たち、二匹目のドジョウを狙ったものもあった中で、筆者がこれは、と思ったものを挙げたい。一本目は「DNNER WITH SIGGY~世界的シェフが食卓へ~」。これは制作側の主張ではドキュメンタリーと銘打っていてシリーズで6本放送されていたもの。筆者は最終回しか観ていないのだが、CBCが2023年に国際コンテンツ取引マーケットに出品したもので新しいコンテンツではないし、何故今頃これを地上波で未明の時間帯に流したのかは分からないが昨今の地上波の戦略に触れることが出来たので興味深く観た。本シリーズは、名古屋に「出雲」という和食レストランを構える世界的料理人大谷重治氏(シギー)が、拘った食材をもって在日外国人宅に出張して料理を振る舞うという内容。最終回は飛騨牛の経産牛を如何に美味しくするか、というコダワリの経過と、この肉を中国人一家を訪ねてそこのキッチン、そこの調味料を使い数品の料理を作り振る舞う過程が綴られる。ノーナレである。演出を加えたドキュメンタリーとでもいうもので、最近のバラエティでよく取られる手法だ。但し、撮影監督がオーストラリア人の写真家(演出家)で感性が写真家アプローチ、加えて恐らく大判一眼レフカメラ2台での撮影したのでその計算された映像と在米演出家で編集者である出野圭太氏による構成・編集がとても新鮮だなと感じた。ストーリーとしてもよく出来ていた。最終回だけ観ると出演者がどういう人か、料理人と客の関係の説明がないので、いささか不親切な感じもした。(そんな人は相手ではないかもしれないが)

もう一つ。スタッフの座組が多国籍軍で、まとめるプロデューサーは大変だったろうなと思うけど、仕上がりは上々ではなかったか。P、EPをCBCが担い、映像の肝をオーストラリア・アメリカ連合軍、カメラマン、音声マン、編集マン、現場マネジメントはそれぞれ在名のプロダクションという構成であった。コンテンツ制作の今後を見る思いだが、在名プロダクションへの制作費は満足行くものであったのかとても気になる。

番組は編成を介在せずに制作出来、国際コンテンツマーケットに出品することが出来よう。製作委員会に出資する映画のように。既存の地上波ネットワークに依らないリクープのフォーマットにいろいろと挑戦している事が分かった。マーケットでの評価はどうだったのであろうか。巨大資本にモノを言わせたNetflix日本支社の制作物のようなダイナミズムは生めないにしろ、「ハートフルワールド」もしかり、準キーしか作れないアイデアと内容でのコンテンツセールス勝負は現状稼ぎ出す額は少なかろうが、在りうるのだ。

上記の番組と同じような匂いを感じたのが、連作ミニドラマを積み上げた30分ドラマ番組「パレード界隈」(初出は昨年12月で今回は再放送)。だ。企画とPをCBCが担当し、ドラマそのものの制作は東京。一遍3.5分のショートドラマが小説の連作短編集のように一筋の関連性を持って8作綴られていくもの。CBCは昨夏から木曜日深夜に「ドラマトリップ」という枠を作り、自局の社員がPを務め現場を話題を呼びそうな外部スタッフに任せるという仕掛けでドラマを制作している。地上波ではかつて制作していたネット単発ドラマも無くなった現状において、今後のコンテンツ制作に向けてCBCが培ってきたドラマ制作の財産の活用を模索するのは当然であろう。

一方ローカルコンテンツとして良いトコロに目をつけたなという作品を2つ挙げたい。これらは地上波で、またYouTubeなど配信ツールで制作費との兼ね合いも考慮して旨味を持つだろうと感じた。一つはゴールデン枠で編成された「世にもニッチな研究室」。視聴者が「それは知らなかったなあ」と思わず膝を叩く、というコンセプトは昔も今も変わらない。制作者が苦労するのはどの辺りに金脈があるのか、という点だ。そうした点でこの番組は「錯視」「折り曲げた紙の強さ」、「AIバスケロボ」(トヨタの部活も含め)オチとして「利き温泉」と並べ筆者はオチも含め興味深く観た。もう一つは「踏み込め!歴博」。2週にわたり30分番組を企画、放送した。これはローカルにおいて灯台下暗しの知識をよくぞ掘り出したと感じた。歴博とは歴史博物館のことでこのエリアには結構な数があるというのも新鮮だった。この番組での良い点は司会のカズレーザーの博識が現場のリポーターが仕入れる知識を上回る面白さとボケ、アシスタントの大友花恋がお飾りではないというキャスティングの妙を感じた事だ。どローカルな番組であるが、存在価値を感じた。

こうしてみると、CBC制作陣の多様性、目の付け所、編成の柔軟性が光っている。「トガリビト」や「ハートフルワールド」「道との遭遇」YouTube展開の「大家族シリーズ」も健闘している。古巣だからという贔屓の目もあるだろうが、俯瞰して冷静に見てもそう感じる。全体の視聴率では苦戦しているようだが、個々の番組の戦略・制作スタンスは間違っていないと思う。実は次回書くドキュメンタリーでもCBCの健闘が目立っていた。逆に総合視聴率で上を行くメ~テレや東海テレビの角が取れてしまった番組群は残念だ。企画のアイデアは良いのに撮れ高(取材結果)でコケてしまっている。(1つCBCに注文をつけておきたい。ホームページのアーカイブが貧弱だ。これは前にも書いたが、モナカの中身はいいから皮だけ<放送日、ネットの有無、内容の概略、スタッフ程度>でも記載を願いたい。)

長文にお付き合い頂いたが、現場の最先端の制作者には今更ながらのコメントだったかも知れない。だが一般の視聴者やネット訪問者は、制作の背後などは考えない。面白ければ、興味が湧けば、一つ得をすれば良いのだ。手応えを感じづらいマーケットにおいてコンテンツをどう見たかのひとつとして参考になれば幸いである。(KING)