- 番組名:NNNドキュメント’18「声が聞きたい〜ゆれる個人情報の境界線~」
- 放送局:中京テレビ
- 放送日時:2018年11月25日 25時05分~25時35分
噴火により今も行方不明になっている方の消防との最後のやりとりの声を、行政に対して何年にもかけて要請しても地域の個人情報の条令により認められなかった事態。それが粘り強い親族の働きかけにより行政を動かし条令を改正でき、ついに親族のもとにDVDが届く一部始終を追ったドキュメンタリー。
地域行政もおそらく条令を作成した時は個人情報の扱いがこなれていない時で、理解が足らなくともまず作成したと想像でき細かい部分は十分な検討が足らなかったのだろう。それはそういう事もあり得るが、その後の修正をしていかなくてはいけない。しかし、行政はなかなかそうはいかない。今回の事態は検討の足らない規定を被害者家族にも適用した為起こった事、地域行政は指摘されてすぐに対応出来れば良かったがなかなか一度作った規定を変えることができないのは行政の常。それを家族の粘り強い対応、友人達との署名活動により事態は動いた。そうか、署名活動はこうした場合有効に機能するんだと素朴に僕も思った。裁判などで鋭く対立するニュースを見ることが多く、こうした穏やかな解決にホッとする。もちろん当事者にしたら穏やかではないだろうが。
こうした形になった事にこのドキュメンタリーがどれくらい寄与したかわからないが、番組を放送したことは影響はあったと推察されるし、こうした役割を果たした事は放送本来の果たすべき業務であった。その意味ではこの番組は派手なものではないだろうけど立派に役割を果たす事ができた幸運な番組である。そして、まっとうな主張を持った署名活動は実効性があると実証したわけで、事勿れで進む事が多い時代の中で光明もある事をもっと強く主張してもよかったと思う。
柴垣邦夫