• 番組名：名古屋行き最終列車2019＃5
• 放送局：メ～テレ
• 放送日時：2019年2月19日（火）24：25～

昨年末、熱田文化小劇場で、とあるコンサートを見るため、神宮前を久々に訪れた。ずいぶんさびれてしまったものだなぁと思いながら周辺を散策した際、寺島進の出演する何かのロケに出くわした。ああ、このドラマだったんだと昨日、録画映像を見ながら気づいた次第。

愛すべき亡き名優、大杉漣の回想シーンを含むちょっといい物語であった。寺島の扮するラーメン店主は、かつての師匠（大杉）に不義理をしたが、恩返しのため、再び雇われ店主として奮起するというお話。最終章まで店主が善人なのか悪人なのかわからない筋立てになっており、興味を引いた。いわゆる大道で大人向きのドラマだ。

懐かしささえ感じる神宮前の路地裏は、こうした物語にふさわしいロケ地カードだ。しかし、逆に言えば余程の人情モノでなければ、光明が見えない場所とも言える。ロケ地選びには、当然、民放ならではの事情がつきまとうが、このスタッフは、クライアント要請を上手にクリアしたようだ。つまり、良い内容のおかげで、神宮前に明日があるというイメージを演出した。

少なめの出演者とシーン割り。派手さはないが、基本に忠実。いろいろと工夫をしたせいで、地味ながらもまずまず及第点がとれている。

名古屋局にこのような制作力が温存されていることに対しては、少なからず誇りを覚えた。

中島精隆