- 番組名:チャント!
- 放送局:CBC
- 放送日時:2019年4月16日(火)15時49分~19時
4月から「イッポウ」を1時間枠拡大し「チャント!」という番組タイトルにしてスタートした。
今日は18時10分くらいから元オウムの死刑囚に関する特集企画をするというので見ていたところ、阿蘇山噴火という速報が入ってきた。「18時28分に噴火」の速報スーパーが18時33分に画面に入り、大石キャスターが速報スーパーに気づきすぐにコメント、その後18時38分元死刑囚の企画の途中で東京TBSからのライブ映像を差し込んだ。各局をチェックしたがその時にはどこもやってなく、18時42分に東海テレビ、49分に中京テレビが噴火のライブ映像を入れてきた。NHKは当然放送したのだろうが、その時刻では東海地区のほのぼのとしたローカルニュースを流していた。今日はくしくも熊本地震からまる3年の思い出さなければいけない日。そのあとの報道で今回の阿蘇山噴火はごく小さな噴火と知ったものの災害には初動が大切。瞬時にライブ映像を入れることは処々の対応が必要で簡単な事ではないが、これが系列挙げての報道力である。たとえ小さな噴火でも今回のCBC「チャント!」の対応は評価したい。新番組になって枠拡大して相当大変な状況が予想される中、この対応は素晴らしく今後もこういう対応をしていってほしい。大石キャスターはさすがの即応力で、難しいネタのまとめに入る時に冷静に対応し素晴らしかった。でも、ピエール滝の保釈にはあれだけの中継体制を組み延々と待っている姿をライブするのに、他の局は一体ネタ選択の価値判断はどうなっているのでしょう?報道ニュース枠には即時力が一番大切だと思うのだが。ただ、僕も全局をを見切れていないので他局対応の認識は正確ではないかもしれません。文意をお汲み取りください。
さて、元オウム死刑囚の企画の話です。CBCの記者が名古屋拘置所で昨年死刑を執行した岡崎元死刑囚を支援する女性を一年おっかけ取材したもの。脱会し自首した岡崎元死刑囚は獄中で数多くの絵を描いていた。彼の絵の展示を通じて知った岡崎元死刑囚に女性は現金を差し入れたりし支援した。結果、執行後の遺品を預かる立場になった。かなりの量の遺品が彼女の自宅に届けられ山積みとなっていた。自分のところに送られたらと思うとめまいがしそうな出来事。一年後彼女の自宅に記者が訪れるとかなり整理されパソコンにデータ化し広く閲覧されるようにされていた。「支援はしているが共感はしていない」と語る彼女はこうした事件が再発されないように、事件を起こした当時の岡崎元死刑囚の心の動きを知る機会を残しておく必要を説く。僕はなぜ彼女が岡崎元死刑囚を支援したのかまだよくわからない。共感なくして支援はあるのかと思ったりもする。しかし、岡崎元死刑囚の何故加害者側の中心人物になっていったのか状況を彼の側から残す必要はものすごくある。コメンテーターの深澤真紀さんは「時代背景がすごくわかる世代として、世の中に恵まれない当時の若者が正義感の発露として宗教に入り妄信した結果暴走していった。そしてあの大事件。イスラム国もある意味同じ構造」。的を得た指摘だ。CBCの記者は岡崎元死刑囚に何度も手紙を出し、本人からも便りが来るようになる。こうしたアプローチが報道記者としてとても大切なことだ。ぜひ、先日のイッポウSPのようにさらに突っ込んだ番組としてほしい。少しナレーションで説明をつなぎすぎの感もあった。夕方枠ではテンポ必要なので致し方ないが、深夜枠でゆったり現場の音や視る人にも考えさせる作りを期待したい。
柴垣邦夫