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KINGさんの記事の趣旨には賛同する。その上で夕方情報番組について記してみる。
平日夕方の3時間あるいは2時間枠なので視聴率は大きく営業成績に関係するので担当する報道部の担当者のプレッシャーは大きいことは理解している。報道部と視聴率はなかなかの難題で、どういうモノで視聴率を取るのか頭を使っている。そこで視聴率の反応を試しながらいろいろな方法にチャレンジしている。KINGさんが指摘しているようにそこに独自の提案が視聴者にないと番組好感度や信頼度にはつながらない。そこでやめてほしいなと思うチャレンジもある。例えば、コメンテーターの起用法。強く感じたのはCBCのチャントの芸能人コメンテーター。「チャント!」の前番組「ゴゴスマ」でも出演している大久保佳代子や光浦靖子などの起用は大げさに言うと「チャント!」の報道性を弱めてしまう。
4月30日から5月1日にかけて各局ネット番組で組まれた令和特番の視聴率は良かったのが日本テレビ、テレビ朝日の順で、NHKが悪かったと聞いている。NHKは30日分で爆笑問題が長時間MCを担当した。爆笑問題はNHKでも面白い番組を担当していることはよく知っているが、ここでの起用はハマッタとは思えない。そこでやりたかったのは何なのだろうかと思うとNHKらしくない新機軸を見せるという事だろうし、その上での爆笑問題の起用だろう。また武田アナが担当した日マタギの特番では渋谷の交差点の中継を多用し、年越しやハロウィンのようなお祭り騒ぎになるやと追っかけていた。新天皇が誕生し、新元号が始まる厳粛な気分の中でこうしたニュースの優先順位はどうなのか、KINGさんが指摘するアジェンダとしてそんなに上位に来るべきものだろうか?視聴率を取るためにタレントに頼ったり、yahooニュースのトップに来そうなネタを持ってくるという判断をNHKがしたことに唖然とした。日本テレビは有働由美子が桜井翔とともにどちらかというと従来のNHKのようなテイストでてきぱきと仕切った。
かなり以前の話だが東京制作部にいる時、放送作家達と企画会議をしていた。その時にやりたいねと言っていた企画はワイドショーをバラエティ番組にすると言うもの。キー局ではないので必要な素材が自局では足りなく諦めたが、その時の放送作家さんが立ち上げたのが「サンデージャポン」だった気がする。ワイドショーネタをエッヂをつけて独特の番組になった。大げさな切り口で行き過ぎもあるけど本当に聞きたい事もタブーなく拾っていった。そして、何となくあった「こうあるべし」という殻を破った画期的な番組だった。視聴率もいまだある程度とっているようだ。ニュースネタをタレントが語る番組もその後増えたが責任ある発言ができるタレントも多くはない。ニュースネタもいろいろあるが社会性の高い問題に責任ある発言をするという事はどれ程知識や見識が必要か。「サンデージャポン」「ワイドナショー」のように番組フレームで視聴者に番組の見方を理解してもらっているものは許容範囲なのだろうがニュース番組の顔をしてタレントがコメンテーターとしてわけ知りで語る番組は信頼度が高いとは思えない。
また、前の投稿「4月16日のチャント!」で評価した阿蘇山の噴火速報もアジェンダセッティングが的確だった事を褒めたつもりだ。僕はテレビの強みは速報性にあると思っているので基本速報を入れて欲しいと思っている。先日トランプ大統領がゴルフ場に到着するシーンを「サンデーモーニング」で中継で入れてきた。しかしトランプ大統領はなかなかヘリから降りて来ず待つ時間が続いた。MCの関口宏は「スタジオに戻して!」と呼びかけるがなかなか戻らなかった。ずいぶん判断の悪いディレクター、マニュアル通りに進めたがる事なかれのスタッフ。こうした事の積み重ねが「生きた番組」かどうかを決めていく。適切な判断、適切な対応は何か、永遠の課題だがこれが番組づくりの醍醐味のはず。視聴率という言葉に逃げ込まず、適切な判断をして欲しいし、それを周辺は尊重して欲しいと思う。
柴垣邦夫