「日本全国!こんな所にスゴイ人 銅像スター調査隊!(東海テレビ・バラエティ:全国ネット版)

  • 番組名:日本全国!こんな所にスゴイ人 銅像スター調査隊! 全国ネット版
  • 放送局:東海テレビ
  • 放送日時:2019年6月23日(日曜)午後4時05分~午後5時20分

過日本作のローカル版を観て感想をここに書いた。個人的にも興味があるジャンルでなかなか面白く見せてもらった。本作はその全国ネット版。企画のネット進出、おめでとうございます!日曜の午後の微妙な時間帯で1時間15分という変則枠ではあるが、3つの銅像を紹介するにはちょうどいい尺だったと思う。本作の冒頭で司会の加藤浩次が「銅像ネタなんてせいぜい15分コーナーでしょ」と言っていたが、本シリーズは発想の転換から番組にしてしまったのだからその企画の目の付け所、グッジョブ!だったと思う。

しかし、このネタはローカルならではじゃないのか?といささか疑問符も頭に点滅しつつ、鑑賞させてもらった。全国版にした時の「銅像」の難しさは、その土地の人には当たり前の偉人であったりするので、「なんでこんなことが取り上げられるの?」と思われてしまう恐れがあることだろう。しかし、それ以外の殆どの日本人には「誰?」な人であるわけで、3人目の「古関裕而」はそれを逆手に取って地元に如何に愛されているかを強調する作りに仕立てた。なかなかいい回避策だったと思う。

先述したように、個人的にも興味があるネタだったので今回も楽しく観させてもらった。「長州ファイブ」は知っていたが、その中に日本鉄道の父、井上勝が含まれていたとは虚を突かれた感じだった。彼の英国留学のエピソードと初の本格的トンネルの秘話などエピソードも面白かった。(因みに開通したての東海道線はまだ丹那トンネルがなかったから地図を書くなら箱根を迂回した今の御殿場線を入れて書くべきだった)井上の大きな銅像は東京駅丸の内口皇居に向かって右側にかなり大きなものが建っているのだが、地上をあまり歩かない筆者は新鮮な驚きだった。こうした「誰?」な銅像は東京には一杯あるんじゃないかな。

スタジオには司会加藤浩次、アシスタントに東海テレビの浦口アナ、パネラーにカンニング竹山、光浦靖子、市川紗椰を配した。シリーズではMCは不変で、パネラーもだいたい同じメンバーだ。冒頭の「井上勝」VTR明けのスタジオはやや長い感じ。早く次を観たかった。二人目は地元の「江戸川乱歩」。銅像からその人の歴史に迫るパターンは同じだが、大体知っていると思っていても知らない事が提示されると嬉しいものだ。そして最後三人目が「古関裕而」。我々が耳にする多くの行進曲や校歌を作曲したことで知られるが、(その数5,000曲という)白眉は、文通していた彼女(後の妻)とのラブレターの中身で、これは長男が良くテレビに公開してくれたな、と思うプライベート感満載の面白さであった。

全体として3つのVTRの内容はよくリサーチされていて、嫌味のない演出。あえてリポーターを置かないシンプルさが銅像のキャラクターを立てる意味でも効果的だった。テンポも良い。「銅像」の人選も良かった。スタジオもまああんなものだろう。全体として1時間15分という変則枠をいい意味で使い切ったという感じで、知的好奇心を大いにくすぐられた一時だった。

一点だけ老婆心ながらの提言をするとすれば、偉人という人々が携わったジャンルには視聴者にも詳しい人がいると思うべきで、例えば今回の「井上勝」の場合「鉄」なので、うるさい人は一杯いると思う。そうした専門性を解説する際に、間違いをやると興味が半減するので、そのあたりは注意してかかるべきだろう。またパネラーにウンチク臭い歴史家などは不要で、あくまで視聴者目線でいいと思う。

このシリーズ、まだ何作か出来そうだ。次第にハードルは高くなると思うが、制作陣のアイデアに期待したい。(KING)