- 番組名:正月千鳥
- 放送局:中京テレビ
- 放送日時:2021/01/03(日)1655~1750
正月三が日でのネット単発番組という難しい枠での冒険的な番組だった。
ホームページによれば「人気者・千鳥が1回でもやれば、2021年 日本中が注目してくれてブームを起こすことができるはず!?」
既に冠番組を持って、活躍している千鳥に他ではやっていない企画をぶつけて面白くしようというものだ。
進行役に平成ノブシコブシの吉村、ゲスト席にお囃子役のケンドーコバヤシと、森川葵が華を添える。
とても良く考えられた、いいキャスティングだと思った。
「各界のNEWスターたちが登場して猛アピール」といううたい文句にしては、いささか強引な設定となる素材がいくつか見られたが、
なにはともあれ熟練の演出テクニックで作り上げていた。
まずは健闘を讃えておかねばいけない。
さて、東京で活躍するスタッフの視聴者の目を離さない技は見事だと思うが、同じような技や発想ではいつか飽きられるのではないかと危惧する。
番組の中で「チャンネルが止まる」という演出の言葉が聞かれた。確かにそうだと思う。でも、そのやり方でいいのか。
今の作り方でこれからの時代を、SNSの時代を、戦うことができるのだろうかと思う。
この番組の箕羽企画&プロデューサーが担当する「それって!?実際どうなの課」は2019年スタートした毎週水曜日2359~のレギュラー番組だ。
スタートから東京の熟練の演出による作りで、試行錯誤を重ねつつヒット企画を積み上げ、今や安定期にあると思う。
森川葵はこの番組のレギュラーであり、いわゆる「かくし芸」を超人的なスピードで名人芸をマスターして話題となっている。
彼女の特殊な才能によるところが大きいが、いくつかある企画の中でも別格のヒットだと思われ、私も楽しみにしている。
レギュラー番組では試行錯誤で軌道修正が可能だが、スピンオフ番組を別として、単発番組は宣伝の機会もわずかだ。
タイトルないしキャッチコピーで番組企画や見どころをコンパクトに的確に表現することが求められると思う。
今回の番組ではこの詰めが甘いように感じられた。
おそらくは企画者の頭の中には何らかの核となるイメージがあると思う。
そのイメージを描くことのできるのは感性や才能があるからに違いない。
しかし、そのイメージを絞り込む、練り上げる過程での葛藤がもっと必要ではないかと、私は思う。
そのイメージを簡潔に表現するコピーやタイトルにまとめることが出来れば、もっと面白い番組、突き抜けた、あるいは骨太な番組ができるのではないだろうか。
澤田