番組名 :「ネタミちゃんとなかまたち」
放送局 :中京テレビ
放送日時:9月12日(日)0:25~<55分>
「妬み」をテーマにしたバラエティとの触れ込みなので、あまり後味の良い番組ではなかろうと思いながらも興味本位で視聴してみたところ、意外にも好感度が高かった。ブラマヨを中心としたMC陣の揃え方も良いが、とりあげた「妬ましい人」の例がなかなかよろしい。一瞬、こちらが気後れしそうなお金・知能・美貌の持ち主を何人か紹介するのだが、番組の進行とともに彼らには彼らなりの事情や別の側面があることがわかってくる。
ぜいたくな暮らしぶりを披露したがる人は昔から存在するが、今は自撮り写真をSNSで見せびらかすやり方が主流。中でも「感じワル~」と思われるような写真をわざわざアップする人には、どうやらアクセス数を稼ぎたいという事情があるようだ。結果、高価な借り物を駆使して懸命に自己演出した作品を発表することに。それなりに楽しんではいるだろうけど、生きる為に彼らも必死なんだね。
IQ180超の知能に恵まれ、将来を嘱望される青年は、貧しくとも自由奔放に生きる芸術家タイプのフリーターを羨んでいるらしい。つい手を差し延べたくなるキャラを武器に誰かに支えられながら生きていく姿に実は憧れている様子。凡人には想像し難い心模様だ。
働かなくても誰かが食べさせてくれそうな美人が、図抜けた行動力でマルチに活躍しているという事例も面白い。大企業で秘書の経験のある女性が、魚屋さんで包丁を握っていたり、農業を本業とする女性が、企画力を生かして大手作業着メーカーのデザインに噛んでいたりもする。
生きる為に違う自分になり切ろうと努力したり、そんな必要もないのに変身願望を抱いたりする現代人の心情をこの番組は、軽妙なタッチでバラエティに昇華させていた。
中島精隆