「道との遭遇」(CBCテレビ・バラエティ?)

  • 番組名:「道との遭遇」
  • 放送局:CBCテレビ
  • 放送日時:2024年9月3日(火曜日)23時56分~24時44分

現在、筆者が継続して観ているローカル制作番組は帯番組を除き「子どもディレクター」(CTV)、「ぐっさん家」(東海)、「デララバ」(CBC)そして本番組「道との遭遇」である。2022年に始まった頃から、マ二アックな番組が出来たものだなあ、と思って観始めたが、その独特のタッチに引き込まれ気がついたら録画して毎週観るようになっていた。もちろん「道」は「未知」のシャレで有名映画かヒビキを頂いているが、気が利いたタイトルだ。この番組からは、既に酷道、険道、暗渠道、廃道や隧道マニアなどの評論家が誕生し、他媒体にも出ているほどの人気になった。そしてついに今年の「放送文化基金賞」のエンタメ部門で最優秀賞を獲得してしまったのだ。お見事というほかない。「珠玉のバラエティ」と称賛された。現在全国11局に番販されている。

誰の企画なのか存じ上げないが、発想が素晴らしい上に、学術番組であり、冒険番組であり、ドキュメントであり、道マニアの人間ドキュメントでもあり、そしてバラエティになっている。CBC が強みとしている「教養系娯楽番組」の極みのような番組だ。人間の好奇心(その先を知りたいという欲求)を満たす、まさに「珠玉のバラエティ」だ。

この時期に筆者が、なぜここに本番組を取り上げようと思ったのかというと、9月3日の放送分が、これまた非常に興味深く面白かったから。過日「赤岩隧道」と称される古写真を元に、隧道を探しに出かける回が放送された。取材班は三重の紀北町にそれらしき隧道を見つけた。(その回も当然筆者は観ていた)しかし、その回を観た視聴者から「あの写真は福井県勝山市にある赤岩トンネルではないか」という連絡が入ったのだ。

この調査を担当していたのが道マニア(特に隧道・廃道)の石井あつこさんという女性。自分が間違ったことを放送してしまったのかもしれないと、取材陣を呼び出し、取材を持ちかけ、勝山市に自宅のある東京から自分のクルマを600キロ運転して調査に駆けつけた。石井さんのマニアぶりが凄い。国土地理院の古い地図はもちろん、普通は知らない「道路トンネル大鑑」なる書籍を使って、赤岩隧道は本当に勝山市にあったのか、を明らかにしていく。その過程が出来の良い謎解きサスペンスのようであり、ドキュメンタリーである。言いすぎかも知れないが「インディー・ジョーンズ」の映画を観ているがごとき気分。

その結末が圧巻であった。石井さんと取材班は九頭竜川沿岸にそれらしきものを発見。更に土地の古老からも、ここで間違いないと証言を得る。石井さんの凄いところは公的文書で裏を取る作業を以て完成としたいという信念だ。そこで勝山市立図書館に赴く。持っていた古写真と同じものが「大野郡史」に掲載されていたのだ。明治43年に開通した、この隧道の来歴が明らかにされていく。これで「赤岩隧道」の謎が解けたのだ。最近のバラエティ?でこんな興奮したことなない。金脈的には中京の「オモウマ」以来な衝撃だ。

この番組は前半がお笑いのミキを使った本編コーナーで、その後はグラドルが軽トラを運転してあちこち出かけるコーナーや、アイドルが険道を行くコーナー、また情報通への道として映画やコンサートのパブリが入る。私は後半は観ることがほとんどない。当番組の真髄は前半30分に尽きている。(「子どもディレクター」も後半にくっついているバラエティは観ないけど。)

この番組、単発ネット、レギュラーネットへの道があるのではないか。その場合、プライムなんて考えないほうが枠的にいいんじゃないかと思うのだが。TVer 、ロキポ、YouTube展開もしているのだから。

さらなる健闘を祈る、横山くん!(KING)